日本草地学会誌
Online ISSN : 2188-6555
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24 巻, 4 号
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  • 原稿種別: 表紙
    1979 年 24 巻 4 号 p. Cover13-
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
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  • 原稿種別: 表紙
    1979 年 24 巻 4 号 p. Cover14-
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 田村 良文, 星野 正生, 佃 和民
    原稿種別: 本文
    1979 年 24 巻 4 号 p. 251-258
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
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    秋季自然条件下における長日処理がイタリアンライグラスの形態変化,生育量ならびに出穂におよぼす影響を検討した。また,光中断処理時間および光源の種類と長日処理効果の関連,さらには長日処理反応の品種間差についても検討を加えた。1)光中断にともない草丈は高く,葉は薄く,一葉面積,個体当り葉面積は大となった。茎数は減少する場合が多かった。一葉重には差は認められなかった。2)地上部生育量は光中断区ですぐれた。このことは栄養生長から生殖生長への発育相の転換の遅速に起因しているものと推察された。同時に,長日下では節間伸長にともなう受光態勢の改善が純同化率を高めた事が認められた。3)光中断時間が1,3,5時間と長くなるにともない草丈,一茎重,乾物重,出穂茎数が増加する傾向を示した。4)低緯度原産の,すなわち春化要求の低い品種において,秋季における長日処理に対する感応性が高いものと考えられた。5)同一品種内において,秋季の長日処理反応に大きな個体間差が認められた。6)長日処理効果は600〜700nmの波長光を放射するR光源で最も高く,BR光源,B光源,BLB光源では相対的に劣ることが認められた。
  • 渋谷 功, 山田 豊一, 広田 秀憲, 伊東 睦泰
    原稿種別: 本文
    1979 年 24 巻 4 号 p. 259-269
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
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    1.本研究は,牧草群落における競争をある特定期間に限定するのではなく比較的長期にわたり年数回の剪葉を繰り返えしながら経時的にとらえることにより,群落構造変動のしくみとそれに果す競争の役割を解明しようと企画された。そのため,まずprimary canopyでの競争の初発とその自律的発現因子との関係をイタリアンライグラスを用いた5実験により調べ,ここに第1報とした。2.自律的誘発因子として種子の大小を取りあげた。大粒種子は小粒種子にくらべ胚乳のみでなく胚(幼芽,幼根)についても大きく,また離乳期間内の生長もよく,そのため出芽幼植物の生長にも勝った。出芽率は初めの1週間では小粒種子よりも大粒種子で明らかに高かったが,3週間にはその差は消えた。3.以上の結果をふまえて,大粒種子幼植物と小粒種子幼植物,あるいは早播幼植物と晩播幼植物をそれぞれ単播および混播したところ,LAIがおよそ1前後に達した頃より競争効果がみられ,小粒種子植物は大粒種子植物により,また晩播植物は早播植物により増数的形質について生長が抑圧された。早播植物は競争の結果,単播区の生長より勝ったが,大粒種子植物の場合そのような正の競争効果は明らかでなかった。4.本実験結果に既往の諸報告を加味して考えると,新播牧草のPrimary canopyにおいては,種間,種内を問わず,まず種子の大小や出芽の遅速により自律的に競争が生起するのは明らかである。
  • 寺井 謙次, 神田 巳季男
    原稿種別: 本文
    1979 年 24 巻 4 号 p. 270-276
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
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    本試験は,オーチャードグラス実験個体群を用い,7段階の密度処理のもとで,株数減少と茎数変化との相互の関係を調べ,個体群内におけるいわゆるnatural thinning現象がどの様に起っているのかを明らかにせんとして行われた。各密度区間において,平均個体(株)重と現存株密度との間に,競争密度効果とみなしうる相互関係は認められたが,高株密度側において個体(株)重の増加に伴う密度の減少経過の現われ方が不明瞭であり,ここでの現存株密度が,3/2乗則の場合の個体密度に相当しているかは明らかでない。一方,個体(株)の重量増加は,茎数増大と密接に関係しており,特に高株密度の側で単位面積あたり現存分けつ密度と平均分けつ重との両者間の経時的な軌跡が,傾きほぼ-1.5の直線に沿って得られたことから,既報で指摘したように,イネ科牧草個体群内における密度の調節は,株数に対するそれよりも,各shootに対する調節を先行させている可能性が大きい。しかし,こうした密度調節の可能性が,生殖生長の段階や再生長の場面で存在するのか,存在するとすればどの様な存在様式をとるのかは今後の問題点として残された。
  • 能代 昌雄, 平島 利昭
    原稿種別: 本文
    1979 年 24 巻 4 号 p. 277-284
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    根釧地方では冬期の気象が寡雪寒冷なため,オーチャードグラス草地では冬枯れが発生しやすく,永続性はきわめて不安定である。そこで本試験では春夏と秋の管理条件を組み合わせてオーチャードグラス単播草地における周年的な冬枯れ対策法を検討した。その結果,1)春夏の少回刈り一多肥管理はオーチャードグラス草地の草生回復,おう盛化をうながし,収量確保を可能にしたばかりでなく,翌春の再生をも良好にした。2)8月下旬の追肥は秋の収量を高め,同時に越冬前の子分げつ茎数の増大をうながした。これにより早春の再生茎数が増し,春の収量は著しく高まった。また11月上旬の最終利用は秋の収量が多く,翌春の再生を良好にしたが,9月中旬〜10月上旬の利用では越冬性が低下した。3)早春の再生茎数が約1,300本/m^2以下に減少すると生産性が低下するため,それ以上の茎数を確保することが重要であり,春夏め多肥と8月下旬の追肥を組み合わせた管理によって早春再生茎数の経年的減少が軽減した。4)以上の結果,ある程度冬枯れを軽減し,早春から晩秋の平均した生育を保ちつつ,経年的に生産性の維持をはかるための管理として,春夏の少回刈り一多肥,8月下旬の追肥および11月上旬の最終利用が有効である。なお,本試験の遂行にあたっては根釧農業試験場袴田共之研究職員の御協力を得た。また本報のとりまとめに際し,当場松代平治場長ならびに小関純一草地科長には御懇篤な御助言および御校閲をいただいた。ここに記して謝意を表する。
  • 小林 民憲, 西村 修一, 田中 重行
    原稿種別: 本文
    1979 年 24 巻 4 号 p. 285-288
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    ダリスグラス,カズングラ・セタリア,グリーンパニックの低温に対する生長感応特性をみるために,自然光ファイトトロンで15,20,30℃の温度処理をして,生長解析を行なった。いずれの草種も相対葉面積生長率(RLGR)の低下が低温下の相対生長率(RGR)の低下,すなわち生長抑制の主要因であるが,グリーンパニックでは純同化率(NAR)の低下も大きく影響していることが明らかになった。RGR,RLGR,NARの温度係数Q_10の比較は,ダリスグラスではRLGRに関してのみ,グリーンパニックではRGR,NARにおいても低温感応度が高く,ヵズングラ・セタリアはそれらの中間であることを示した。3草種の低温に対する生長感応特性は,それらの耐冬性とその獲得過程に密接な関係があることが示唆された。
  • 清水 矩宏, 田嶋 公一
    原稿種別: 本文
    1979 年 24 巻 4 号 p. 289-295
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    シコクビエのアフリカ産,インド産および日本産の数品種について,その種子発芽に対する光と温度の相互作用を,貯蔵条件を異にする種子を用いて検討した。結果の概要は次の通りである。1.種子の休眠程度は品種間で差があり,室温貯蔵では,採種後翌年の播種期にあたる5月にいたっても深い休眠状態を呈する品種があった。2.休眠の覚醒は貯蔵温度によって影響され,低温(5℃)では休眠が維持されたが,高温になると休眠覚醒が促進された。3.シコクビエ種子の発芽可能温度域は広く,休眠が完全に覚醒した段階では,10℃でも明暗ともに高い発芽率を示す。4.発芽の光一温度反応性は,品種あるいは休眠覚醒程度で異なった。休眠覚醒が相当進行した段階では,品種による差はなかったが,その中間過程における発芽の光一温度反応から,品種は3つのタイプにわけられ,このような品種の分化は品種の原産地と関連しているようである。5.10℃では,品種の原産地,来歴に関係なく,すべての品種に共通して暗発芽性が認められた。この暗発芽の誘起には,吸水置床後一定の暗期が必要であり,また,この暗期中に,短時間の光照射によって発芽が抑制される時期があった。
  • 吉山 武敏, 小野 茂, Nittaya SIRIKIRATAYANOND
    原稿種別: 本文
    1979 年 24 巻 4 号 p. 296-302
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    1972年4月から1974年4月まで2年間タイ国パクチョン牧草試験場において,暖地型牧草種子の発芽に関する調査を行い次のような結果を得た。1.いね科6草種,まめ科7草種を供試し,室内に保存しておいた種子の休眠が覚せいする様相を長期にわたって調査した。その結果,発芽率および発芽速度から供試草種を次の3グループに分類することが出来た。(1)発芽率が高く,発芽速度の速いもの:ソルガム,プルーパニック,コロンブスグラス,ドリコス,セントロシーマ。(2)発芽率は低いが,発芽速度は速いもの:アラバンX,グリーソパニック,ギニアグラス(1971年産),アルファルファ。(3)発芽率が低く,発芽速度のおそいもの:ギニアグラス(1972年産),ルキーナ,タウンスビルスタイロ。2.まめ科草の休眠はドリコスを除いて硬実に起因することが,種子を硬実処理することにより明らかにされた。また硬実を主因とする休眠の破れかたによって,次の4段階に分類できた。(1)全く休眠のみとめられない草種:ドリコス。(2)休眠が連続的に徐々に打破される草種:タウンスビルスタイロ,セントロシーマ。(3)休眠が短い周期をくりかえしながら打破される草種:ルキーナ,アルファルファ。(4)休眠が比較的長い周期をくりかえしながら打破される草種:サイラトロ,ペレニアルソイビーン。3.まめ科草種子は高温処理(80℃ hot water)にょり発芽率が高まり,発芽速度も速くなった。低温処理の効果も明らかで,処理温度が低い程効果が大であった。いね科草ではまめ科と比較して効果が小さく,めいりょうな結果が得られなかった。
  • 小野 茂, 星野 正生, 吉山 武敏, 鶴見 義朗, Nittaya SIRIKIRATAYANOND
    原稿種別: 本文
    1979 年 24 巻 4 号 p. 303-309
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    タイ国北東部地方におけるローズグラスの種子生産性を解明するため,九州農試草地部が育成した12系統をパクチョン牧草試験場に導入し,採種試験を行なった。1973年7月から1975年1月までの試験期間中に通算5回収穫したが,このうち1974年8月の収穫期には乾燥のため出穂数が少なく採種できなかった。個体当りの穂数と種子重は1973年11月と1974年9月の収穫期に多く,これらの2時期に比較して,生育期間の大部分が乾期にあたっていた1974年3月と1975年1月の収穫期には明らかに少なかった。種子稔実率もまた乾期には低下する傾向が認められた。1973年には九州農試草地部で同じ系統の採種を行なったが,1穂種子重と種子稔実率のいずれもタイ国の値より低く,両国間には1%水準で有意差が認められた。タイ国における1974年の年間ha当り採種量は平均563kgで,ローズグラスの採種栽培が定着しているアフリカ諸国およびわが国の採種量に比較してまさるとも劣らなかった。このことはタイ国北東部地方がローズグラスの採種栽培地として有望ぞあることを示唆するものといえよう。
  • 星野 正生, 小野 茂, シリキラタヤノンド ニッタヤ
    原稿種別: 本文
    1979 年 24 巻 4 号 p. 310-317
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    タイ国Pakchong Forage Crop Stationにおいて,暖地型のいね科草およびまめ科草の50草種・系統を導入,栽培し,その乾物収量と季節生産性について調査を行なった。最高の収量をあげたのは1973年および1974年の両年を通じ,ネピアグラスであった。1974年の多肥区における乾物収量は75.6ton/haであり,熱帯草地における多収穫の一つの記録が得られた。ハイブリッドネピアグラス,ジャラギュアグラス,ブッフェルグラス,ローズグラスおよびPanicum属の草種のギニアグラス,カラードギニアグラス,ブルーパニックおよびグリーンパニックが多収であった。ほふく型の草種ではシグナルグラス,パラグラスとアラバンXが高収量を示した。これらの草種は1974年において20ton/haをこす乾物収量をあげた。まめ科はいずれも低収量であり,乾物収量で10ton/ha以上をあげたのはグリシンのみであった。一般的には多収の草種程多肥によく反応したが,草種による差が大きく,多収草種の中でも施肥に対する反応が小さく,また殆んど認められないものもあった施肥によっていね科草,まめ科草ともに粗蛋白質含有量は増加した。4〜5月および9月〜10月をピークとする季節生産性の山がみられ,それと降水量の分布の間に密接な関係が認められた。水分の供給が十分であれば,暖地型のいね科およびまめ科草は,ひんぱんな利用によく耐えることが明らかにされた。
  • 名田 陽一, シリキラタヤノンド ニッタヤ
    原稿種別: 本文
    1979 年 24 巻 4 号 p. 318-324
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    タイ国におけるイネ科,マメ科の数種単播および混播草地の収量と草種割合の変化を肥料条件を変えて調査した。豊富な太陽エネルギーと高い気温にかかわらず,当地域の収量は水および肥料不足のために低く,温帯地方での牧草の収量と同じか,やや低かった。マメ科牧草と混播したイネ科牧草のうちローズグラスはマメ科牧草の維持に適するが,同時に雑草の侵入も大であった。マメ科牧草グライシンはイネ科牧草との混播に適さないことが判明した。多肥は混播草地におけるグライシンの割合を減少させた。
  • 名田 陽一, シリキラタヤノンド ニッタヤ
    原稿種別: 本文
    1979 年 24 巻 4 号 p. 325-330
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    タイにおけるマメ科牧草優先草地の造成法,造成時期,イネ科草種とマメ科草種のよりよい組合せについて試験した。播種したマメ科牧草の苗が定着した後にイネ科牧草を移植した区が,マメ科播種とイネ科移植を同時に行なった区にくらべて良好な草種比率を得た。しかし雑草の侵入は大であった。雨期の後期造成区が前期造成区にくらべて定着が良好であった。マメ科牧草セントロシーマおよびタウンスビルスタイロはグライシンにくらべてイネ科牧草との混播に適することが判明した。
  • 奥 俊夫, 土岐 昭男, 小山 重郎, 藤村 建彦
    原稿種別: 本文
    1979 年 24 巻 4 号 p. 331-336
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    北日本における1972年のアワヨトウ第1世代の多発は,被害分布,成虫誘殺調査,広域の気流条件,飛来源となり得る地方での成虫出現期等から判断して,温帯低気圧の移動に伴う連続風により中国江蘇省方面から6月12日夜間に成虫群が飛来したことに起因すると結論された。
  • 正岡 淑邦, 樽本 勲
    原稿種別: 本文
    1979 年 24 巻 4 号 p. 337-344
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    ソルガムの新鮮葉を直接セルラーゼ溶液に浸漬し消化させる場合における新鮮葉の消化率におよぼす酵素濃度と分解時間の影響を検討した。供試材料は前報と同様の4品種,Bloom(B)とbloomless(bl)およびNormal-18(N-18)とbrown midrib-18(bmr-18)である。4葉期と止葉期に最上位展開葉を採取し,4葉期では全葉を100ml三角フラスコ当り各8枚(生重約0.6g),また止葉期では中央部5cm長の葉片を同フラスコ当り各3枚(生重約0.6g)を分解用として供試した。セルラーゼ(セルラーゼオノズカP 1500)を4葉期には0.25%,0.5%,1.0%の,また止葉期には0.5%,1.0%,2.O%の各3段階に酢酸緩衝液(pH 4.0)で溶解し,上記フラスコに各100ml加えたのち,40℃に保った振とう培養器中で消化させ,消化時間は3,6,12,24および48時間の5段階にした。消化率は消化前後の乾物重量を求めて算出した。また止葉期では上記と同位葉を乾燥粉砕し,2ステップセルラーゼ法で乾物消化率を求め前者の結果との比較とした。結果の要約は下記のとおりである。1.酵素濃度の増加に伴ない,止葉期では4葉期に比べて緩慢であったが,新鮮葉の消化率は増加する。また止葉期の2%濃度でBとN-18の消化率で逆転がみられた以外ではb1>bmr-18>B>N-18の品種の消化率に対する順位は変らず,また品種間差は高濃度条件下で大きかった(Fig.1)。上記の結果から,4葉・止葉のいずれの生育期でも新鮮葉の消化率で品種間比較をする場合には1%セルラーゼ溶液が好適すると考えられた。2.4葉期の葉では24時間以後でも消化が著しく,一方止葉期の葉では12時間以後の消化が緩慢であるという差異はあったが,いずれの生育期でも,新鮮葉の消化率は消化時間の延長に伴ない増加し,またb1>bmr-18>B>N-18の消化率順位は24時間以後では不変となり,品種間比較も容易であった(Fig.2,3)。この結果から,新鮮葉の消化時間は24〜48時間が好適すると考えられた。3.分解率と消化時間の関係を対数グラフで表わしたFig.4の結果から,新鮮葉の分解が0〜12時間の急速な分解(前期)と12〜48時間の緩かな分解(後期)に2分されることが明らかになった。乾燥粉砕サンプルの分解に比べて時間的に緩慢であったが,新鮮葉でも乾燥粉砕サンプルと類似したセルラーゼによる分解反応を示すと推察された。4.乾燥粉砕サンプルの2ステップセルラーゼ法による消化率はb1>bmr-18>B>N-18の順位であり,新鮮葉の簡易セルラーゼ法による消化率との相関が高かった。しかし,簡易セルラーゼ法では酵素濃度が高まるほど品種間差が大きくなる一方,2ステップセルラーゼ法との相関性が低くなる傾向があった(Fig.5)。この結果は簡易セルラーゼ法における処理条件の重要性を示唆している。5.以上の結果から,(1)新鮮葉は乾燥粉砕サンプルに比べて消化率は低く,消化に時間を要するが,両材料のセルラーゼによる分解反応は類似していると考えられ,また(2)新鮮葉を1ステージ法で消化させる簡易セルラーぜ法でも,適切な濃度および消化時間を用いれば,簡易法による消化率によって品種間比較が可能であると考えられる。またソルガム新鮮葉の場合,1%セルラーゼ溶液で24〜48時間消化させることが提案される。
  • 佐原 重行, 沢田 耕尚, 日高 操, 武田 功, 阿部 亮
    原稿種別: 本文
    1979 年 24 巻 4 号 p. 345-352
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    夏型の飼料作物の化学成分と栄養価について,主に細胞壁物質(CW)に主眼を置いた調査を行なった。供試したのはグレインソルガム(サイレージ),トウモロコシ(サイレージ),スィートソルガム,イタリアンライグラスである。イタリアソライグラスは対照試料としての意味を持たせた。サイレージはともに糊熟期に刈取って調製したもので,これらについては緬羊による消化試験が実施された。スィートソルガムは乳熟期,糊熟期,黄熟期および完熟期に刈取り,また,イタリアンライグラスは出穂始め,出穂期および開花期に刈取って,乾燥,粉粋し分析に供試した。TDN含量では,平均値の比較において,トウモロコシイレージがグシンソルガムサレージよりも,また,DCP含量ではグレインソルガムサイレージがトウモロコシサイレージよりも高い値を示した。リグニン,ケイ酸の含量においては,グレインソルガムサイレージがトウモロコシサイレージに比してはるかに高い値を示した。CWの消化率に対して強い影響を及ぼすとされているADF中のリグニン含量について,グレインソルガムサイレージとスィートソルガムを比較すると,同じ糊熟期では,ほぼ似た値を示した。トウモロコシサイレージでは,これらよりもかなり低い値しか示さず,また,イタリアンライグラスでは,この値は生育に伴って上昇したが,生育のかなり進んだ開花期においても,ソルガムグループよりは,はるかに低い値しか示さなかった。ルーメンジュースによるin vitroのCW消化試験においては,グレインソルガムサイレージはトウモロコシサイレージおよびイタリアンライグラスよりもはるかに低い値を示した。また,グレインソルガムサイレージにおいては,CW消化率の品種間差が顕著であり,これは緬羊によるCWの有機物分画の消化率の値と同じ傾向を示し,品種によるCWの構造の異質性が示唆された。
  • 林 兼六, 小田島 守, 伊沢 健
    原稿種別: 本文
    1979 年 24 巻 4 号 p. 353-357
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    牛の2品種(黒毛和種=B種およびホルスタイン種=H種)の発育性を比較するために,野草地および牧草地において放牧試験を行った。連続2ヵ年(1972,1973)の各放牧シーズンとも,野・牧草地のそれぞれに約20カ月令の去勢牛12頭(各品種6頭ずつ)を全放牧して増体について調査した。また2年目の春と秋に野草地放牧牛の放牧行動を観察し,酸化クローム・クロモーゲン法による食草量の推定を行った。得られた結果は次のようであった。1)野草地および牧草地における日増体は,それぞれB種では0.30kg(1年目),0.48kg(2年目)および0.47kg,0.51kg,H種では0.52kg,0.56kgおよび0.92kg,0.70kgであった。これをみると,両草地ともB種よりH種の増体が,また両品種とも野草地より牧草地における増体が優れていたが,両草地における増体の差はB種に比べてH種のほうが遙かに多かった。したがって,相対的にはH種よりもB種が野草地をより良く利用したといってよかろう。2)2品種の野草地放牧牛は,一団を形成して行動することが多かったが,朝夕2回の食草のピーク時には,品種ごとの2集団に分れる傾向があった。また急斜面での食草のばあいB種がH種より先行した。3)春の推定食草量(乾物/頭・日)は7.4〜7.5kgで納得のゆくものであったが,秋のそれは4.4〜4.8kgと非常に少なかった。秋におけるこの異常に低い数値は,草中のクロモーゲンが牛の消化器官通過の間に著しく変成もしくは吸収されたことによるものと推察された。この結果から,消化率推定のための指標物質としてクロモニゲンを利用することには,極めて問題があると思われた。
  • 原稿種別: 付録等
    1979 年 24 巻 4 号 p. 359-
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1979 年 24 巻 4 号 p. 359-
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1979 年 24 巻 4 号 p. App8-
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 目次
    1979 年 24 巻 4 号 p. xix-xx
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 目次
    1979 年 24 巻 4 号 p. xxi-xxiii
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 索引
    1979 年 24 巻 4 号 p. xxiv-xxv
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 索引
    1979 年 24 巻 4 号 p. xxvi-xxvii
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1979 年 24 巻 4 号 p. App9-
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 表紙
    1979 年 24 巻 4 号 p. Cover15-
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 表紙
    1979 年 24 巻 4 号 p. Cover16-
    発行日: 1979/01/31
    公開日: 2017/07/07
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