日本草地学会誌
Online ISSN : 2188-6555
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35 巻, 3 号
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  • 原稿種別: 表紙
    1989 年 35 巻 3 号 p. Cover9-
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
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  • 原稿種別: 表紙
    1989 年 35 巻 3 号 p. Cover10-
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
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  • 佳山 良正
    原稿種別: 本文
    1989 年 35 巻 3 号 p. A1-
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
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  • 原稿種別: 付録等
    1989 年 35 巻 3 号 p. i-ii
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
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  • 藤原 勉, 大島 光昭
    原稿種別: 本文
    1989 年 35 巻 3 号 p. 157-163
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
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    出穂始期の青刈エンバクおよびイタリアンライグラスから緑葉蛋白調製時にえられた繊維残渣を人工乾燥し,それらの飼料価値を,出穂期のイタリアンライグラス天日乾燥のそれと,ヒツジを用いて比較した。1.粗蛋白質消化率は3飼料間に差がなく,また,他の成分の消化率よりも低かった。2.有機物,可溶無窒素物およびェネルギーの消化率は乾草が優り,粗繊維の消化率は繊維残渣が優る傾向がえられた。3.ヒツジの体内窒素保留量およびその可消化窒素量に対する割合はエンバク残渣給与時に高い傾向を示したが,いずれも有意なものではなかった。4.第1胃内容液のアンモニア濃度はエンバク残渣給与時がもっとも高く,もっとも低かったイタリアンライグラス残渣給与時との間に有意差が存在した。第1胃内容液の低級脂肪酸濃度には,イタリアンライグラス残渣給与時のプロピオン酸濃度が高かったほかは,有意な差が認められなかった。5.血中グルコース濃度は,エンバク残渣給与時が他の飼料給与時に比し有意に高い値を示した。血中尿素態窒素は,乾草給与時が残渣給与時より有意に低かったが,血中総蛋白濃度は逆の傾向を示した。これらの結果から,供試した青刈エンバクおよびイタリアンライグラスの乾燥繊維残渣は,中程度の乾草とほぼ等しい飼料価値を有することが示された。
  • 冨永 達, 小林 央往, 植木 邦和
    原稿種別: 本文
    1989 年 35 巻 3 号 p. 164-171
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
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    チガヤ(Imperata cylindrica (L.) BEAUV.)は,世界の熱帯から温帯にかけて広く分布するイネ科の多年生草本で,家畜の飼料として利用されている。本研究はチガヤの日本列島における形態および生活史に関する地理的変異を明らかにしようとしたものである。北海道から沖縄県に至る各地で1983年までに採集し,系統維持していた402クローンを1985年から同一条件下で栽培し,稈の節毛の有無および生活史について調査した。このうちの52クローンについては,1クローンにつき5ラミートを8号素焼鉢(直径20cm,深さ19cm,容積約6000cm^3)に移植し,乾物生産量を調査した。栽培実験は京都大学農学部附属亜熱帯植物実験所(和歌山県串本町)において行った。調査した402クローンは,稈の節毛の有無により,2変種に分類された。無毛のvar.genuinaに属するクローンの分布は,北海道,東北北部および福島,群馬,長野各県の高地に限定され,紀伊大島での出穂は極めて早く,草型は小型であった。一方,有毛のvar.hoenigiiに属するクローンは,東北南部以南に分布し,生活史に基づいてさらに2群に類別された。すなわち,奄美大島以南から採集したクローンは5月から10月にかけて断続的に出穂し,冬期も枯死しなかったのに対し,東北南部から九州にかけて採集したクローンは年に一度だけ5月に出穂し,冬期には休眠状態に入った。また,一般に植物体の大きさや生活史に関して採集地の緯度に伴うクラインが認められ,北方産のクローンほど植物体が小型で遅く出芽し,出穂は早く,地上部が早く枯死した。これらの結果は主として採集地の気候要因,特に冬期の温度の差異に起因するものと推定された。
  • 冨永 達, 小林 央往, 植木 邦和
    原稿種別: 本文
    1989 年 35 巻 3 号 p. 172-179
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
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    イネ科多年生草本チガヤ(Imperata cylindrica (L.) BEAUV.)は,世界の熱帯から温帯に広く分布し,家畜の飼料として利用されている。本研究は紀伊半島におけるチガヤの内陸集団および海岸前線砂丘集団の外部形態や花粉稔性における差異を調査したものである。なお,栽培実験は京都大学農学部附属亜熱帯植物実験所(和歌山県串本町)において行った。1983年までに採集し,系統維持してきた紀伊半島内陸部の路傍,果樹園,畦畔および放棄畑由来の17集団と海岸前線砂丘からの16集団について,各集団から任意に1クローンを選び,1クローンにつき5ラミートを1984年6月に8号素焼き鉢(直径20cm,深さ19cm,容積約6000cm^3)にそれぞれ移植した。同年11月に各ラミートを掘り取り,草丈,分株数,全乾重,根茎の数,長さおよび直径を調査した。また,花粉稔性,葯の大きさ,苞頴長を調査した。現地においては結実率を調査した。内陸集団は海岸前線砂丘集団と比較して,草丈,全乾物重および根茎の直径が大であり,苞頴長は小であった。内陸集団の花粉稔性は94.80〜99.83%であり,結実率は4.26〜73.31%の幅広い変異を示した。この幅広い変異は集団の大きさや,出穂個体の密度に起因するものと推定された。一方,海岸前線砂丘集団の葯は著しく小型で,花粉粒はほとんど認められず,結実率は0.18〜3.10%であった。この様な両集団間の差異は,除草を目的とする地上部の刈り取り,他種との競合の程度あるいは海からの潮風の影響の有無などの選択圧の差異とうまく対応していた。
  • 山田敏彦 , 福岡壽夫 , 樋口誠一郎
    原稿種別: 本文
    1989 年 35 巻 3 号 p. 180-185
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
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    シロクローバ(Trifolium repens L.)の近縁種であるクラクローバ(T. ambiguum M. BIEB.)は,ソ連コーカサス地方,イラン,トルコに自生する永年生の地下茎繁殖植物で,自然倍数性(2x,4x,6x,x=8)を有する種である。この種はモザイク病抵抗性,耐寒性,深根性などシロクローバの育種目標となる重要な形質を保有している。しかしながら,両者を交雑すると,雑種胚は初期の球状胚までは発育するが,その後受精後交雑不和合性により崩壊する。以前に6倍体クラクローバとシロクローバとの間で受精後5日目の交雑雑種胚珠を培養して,4個体の種間交雑雑種植物体を作出したが,これらは不稔であった。そこで4倍体クラクローバとシロクローバとの間で,同様な種胚培養法により種間交雑雑種の作出を試みた。4倍体クラクローバ(品種:Treeline)を母親にし,シロクローバ(品種:マキバシロ)を交雑し,受精後5日目の胚珠を取り出し,以前に報告したと同様な方法により培養を行った。全体で324の交雑胚珠を培養し,22の胚珠で発芽がみられ,最終的には2個体が生育し開花した。4倍体クラクローバとシロクローバの組合せでは,以前の6倍体クラクローバとの場合と比較して発芽率が低かったが,その原因として母親の胚珠の大きさが影響していることが考えられた。得られた2個体の雑種植物体は形態的にはほぼ両親の中間であり,アイソザイム分析により,雑種であることが確認された。クラクローバに共生する根粒菌はシロクローバのそれと異なるといわれているが,雑種植物体には根粒の形成がみとめられた。雑種植物体のELISAによるモザイク病抵抗性の検定は行っていないが,ウイルス媒介昆虫のアブラムシが多く発生した温室内で,シロクローバにはウイルスの病徴がみられたが,雑種植物体ではみられず抵抗性であることが示唆された。しかしながら,雑種植物体の花粉稔性は非常に低く,1個体で約1%,他の1個体は0.1%以下の健全花粉を有するのみであった。雑種植物体を栄養繁殖して,親植物とともに圃場での生育を調査した。雑種植物は親植物に比較して,生育が極めて悪く,その原因としてその形態的特性,根粒形成システムの不完全及び生理的な不均衡などが考えられた。雑種植物体をシロクローバ及びクラクローバと戻し交雑した結果,シロクローバとの場合のみ種子が得られた。すなわち,全体で3135小花にシロクローバを戻し交雑し,12粒の種子が得られた。これらのうち1個体のみが植物体に生育した。この個体は形態的にかなりシロクローバに類似しており,ウイルスを接種したが,病徴はみられなかった。これらの結果からシロクローバに対してクラクローバのモザイク病抵抗性などの有用形質導入の可能性が明らかになった。
  • 伊藤 浩司, 沼口 寛次
    原稿種別: 本文
    1989 年 35 巻 3 号 p. 186-192
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
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    暖地型イネ科牧草のPanicum属4草種-makarikarigrass,green panic,torpedograss,P.milioides,Pennisetum属2草種-kikuyugrass,napiergrass及びsetariagrass2品種-Kazungula,Narokを供試して,宮崎における秋から翌早春にかけて,個体群の見掛けの光合成速度の変化を追跡調査した。秋の気温低下に伴う個体群光合成能力の減少が始まる時期は,Pennisetum属の2草種が最も早く,setariagrassの2品種は最も遅かった。1月上旬から2月下旬までの能力は,makarikarigrassを除き,殆ど0であったが,makarikarigrassはこの期間も僅かながら緑葉と光合成能力を維持した。12月中旬以前には,夜間の最低気温が約10℃以下に低下した日は,低夜温の後作用により光合成が抑制された。抑制は正午頃には解除されるように見受けられたが夜明けの気温が低いほど抑制は強く,napiergrassとtorpedograssは最も強く抑制され,P.milioidesは最も弱かった。2月下旬以後は,気温の上昇に伴い春の再生が始まり,越冬しなかったgreen panicを除く各草種とも個体群光合成能力が次第に増大した。この能力の増大が開始される時期及び開始後の増大速度は草種によりかなり大きく相違した。しかしその草種間差とそれ以前の時期における能力の変化の草種間差との間には特定の関連はなかった。他方,個体群光合成能力の秋の最大値に対する4月下旬の値の比を能力の春の回復程度の指標とみなすと,低夜温の後作用による光合成の午前中の抑制が弱い草種ほど春の再生の開始に伴う光合成能力の回復程度は大きいという関係があった。
  • 津川 兵衛, サセック トーマス, 小松 典行, 丹下 宗俊, 西川 欣一
    原稿種別: 本文
    1989 年 35 巻 3 号 p. 193-205
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では異なる3段階の栽植間隔で栽培したクズの地上部ならびに地下部の1年目の生長を比較した。1986年6月26日に40,80および120cmの栽植間隔でクズ実生を移植し,7月17日から12月11日にかけて3週間間隔で8回にわたり植物体各器官の乾物重およびリター重を測定するとともに,植物体地上部のみを用い生長解析を行った。植物体の採取には20×20cmのコドラートを用い,植物体を植付けた位置(planting site:PS)と,隣接する4個体に囲まれた正方形の対角線の交点の位置(interplant site:IS)を中心に,両者を対にして採取した。ISでは,全生育期間を通じて,3栽植処理区間の地上部および地下部生長差は小さかった。PSでは茎基部と主根の肥大生長に大きな差が生じたため,地上部ならびに地下部乾物重の季節変化に顕著な処理区間差が現われた。両採取位置を平均したm^2当りの最大全地上部乾物収量ならびに最大葉収量は80cm間隔が最高で,それぞれ475g/m^2,329g/m^2であった。最大LAIは40cm間隔の5.2が最高で,疎植ほど低下した。RGR,NAR,CGRおよびRLGRの季節変化はISでは3栽植間隔とも同様であった。PSでは生育終期のRGR,NARおよびCGRに120cm間隔と他の2栽植処理区の間で顕著な差が生じた。これは茎の乾物蓄積の差に起因した。両採取位置を平均した最大CGRの最高値6.2g/m^2/日は80cm間隔で得られ,最適LAIは2.9,そのときのNARは2.2g/m^2葉面積/日であった。
  • 小林 聖, 藤浪 寿夫, 広田 秀憲
    原稿種別: 本文
    1989 年 35 巻 3 号 p. 206-211
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    牧草地の強害雑草であるエゾノギシギシの防除法の基礎資料を得る目的で,本雑草の生活史を1年間にわたり調査,検討した。1. 地上部の生育において,草丈および葉数は,生殖生長への移行とともに急激に増加し,開花期から未成熟期にかけて最高値を示した。また,刈取り後は越冬前まで漸増する傾向を示した。茎数および萌芽数は,刈取り前・後とも一定して増加した。地上部乾物重(葉重,茎重,蕾・種子重)も生殖生長への移行とともに急増し,未成熟期に最高重量を示した。なお,成熟期の種子粒数は約15,000粒であった。1個体あたりの葉面積は,最も葉数の多くなる開花期まで急増した。しかし,越冬前には葉数が少ないにもかかわらず,開花期とほぼ同じくらいの値を示した。葉位別の葉面積は第3葉から第6葉まで急激に増加し,第6葉から第13葉までの根生葉では,一枚あたり,100cm^2以上の高い値を示した。また,第13葉以降激減した。2. 地下部の生育において,根径は,再生初期に若干減少したものの,ほぼ一定して増加し,越冬前には直径24mmになった。地下部乾物重(直根重,側根重)は,直根重では根径とほぼ同様な傾向を示したものの,側根重では再生初期まで増加し,それ以降一旦減少したものの再び増加した。
  • 竹田 芳彦, 寒河江 洋一郎, 山崎 昶, 蒔田 秀夫
    原稿種別: 本文
    1989 年 35 巻 3 号 p. 212-219
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    チモシー(以下TYと略す)優占草地にアカクローバ(以下RCと略す)を追播・定着させるため,接触型除草剤パラコート液剤を用いて,既存のTYの再生を抑制する方法について探索し,併せて簡易な播種床の処理法についても検討した。本試験においては,既存牧草・TYの再生は,パラコート液剤50-100ml/10aで顕著に抑制された。このような低濃度での抑制効果の発現は,高温・乾燥状態での散布処理にもとづくものと推察される。散布時期では8月散布より7月散布の抑制効果が大きかった。さらに散布時の草丈が低いほど,また,再生期間が短いほど抑制効果が大きい傾向にあった。ただし,再生期間が極く短い場合(10日間)の抑制効果は小さかった。このことから,パラコート液剤の処理効果は,既存牧草の草量や生育段階によってもかなり影響されると推察される。なお,ディスクハローによる簡易な草地表層の物理的処理によっても既存のTYの再生をある程度は抑制できることがわかった。追播RCの発芽・定着は,高温,乾燥条件にある場合には,特に播種床条件が大きく影響し,作溝条播(PTS区)や表層撹拌・鎮圧(D区)により発芽定着を高めた。一方,追播後の水分条件が十分なときには,パラコート液剤散布の有無の影響が大きく,散布区ではRCの出芽数が播種床の条件にかかわらず多かった。
  • 井上 直人, 春日 重光
    原稿種別: 本文
    1989 年 35 巻 3 号 p. 220-227
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    Brown midrib-3遺伝子(bm_3)が,交雑種の生育・収量並びにホールクロップサイレージの原料特性に及ぼす影響を明らかにするためbm_3交雑種の栽培試験を行った。供試系統は(正常型近交系〔S_4〕×bm_3近交系〔S_6〕)×bm_3近交系〔S_1〕の3元交雑種2系統で,種子親の2系統はアメリカの黄色デント種に,花粉親は東欧の白色フリント種に由来し,これらの母本の遺伝的背景は異なっている。栽培試験は播種日1987年5月28日,栽植密度625本/aで実施した。表現型の発現を確認して間引き,表現型別に群落を作って黄熟期に収穫し,表現型の間の差を検討した。初期生育と熱性には明らかな差がなかった。稈長,着雌穂高,倒伏・折損割合は,母方の一代雑種の種子親によって異なる傾向が認められた。乾物収量は,正常型に比べbm_3表現型では10〜20%低下し,単位面積当たりの雌穂本数も減少したが,ホールクロップの乾物中の子実割合には明らかな傾向は見られなかった。黄熟期におけるホールクロップの水分は,正常型と同程度で,茎葉部の細胞内容物と細胞壁物質(OCW)の割合,NDF,ADF,シリカには明らかな傾向は見られなかった。一方低消化性繊維(Ob)は各々6%程度低く,ADLも約2%低下,OCW消化率は約10%上昇し,推定可消化有機物含量は平均4%上昇した。絹糸抽出期の地上部について,ルーメン内での乾物消失率を,去勢ホルスタインを用いたナイロンバッグ法による24時間浸漬処理で比較すると,bm_3表現型が平均4%高かった。これらのことから,この遺伝子は,茎葉部及びホールクロップのサイレージ原料としての乾物中の栄養価を4%程度,繊維の消化率を10%前後高めるが,一方で遺伝的背景の異なるbm_3を用いても,同型接合体では乾物収量が15〜20%減少することがわかった。従ってbm_3を利用した交雑種の育成に際しては,母本の組み合わせ能力の向上並びに遺伝的背景の供与系統の乾物生産力を特に重視する必要があると考えられる。
  • 雑賀 優, 佐々木 亨, 野中 和久, 高橋 健太朗, 渡辺 美智子, 渡辺 潔
    原稿種別: 本文
    1989 年 35 巻 3 号 p. 228-233
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    ミネラル含有率に対する選抜に近赤外分析法(NIRS)が使えるかその可能性を見るために採草型管理のオーチャードグラス試料72点についてNIRS分析と化学分析を行い,その1/2を校正用試料群,残りの1/2を未知試料とした。さらに放牧型管理の42点のオーチャードグラス及び採草型管理の48点のペレニアルライグラスをそれぞれ別の未知試料群とした。校正用試料は化学分析値を目的変数,近赤外線反射率を説明変数とした変数選択型重回帰分析を行った。リン(P),カリウム(K),カルシウム(Ca),マグネシウム(Mg)は推定精度を比較するため3変数による重回帰式を,窒素(N)は1変数による重回帰分析式を求めた。その結果,Caを除いた他の成分では校正用回帰式の決定係数(R^2)は.945以上,NIRS推定値と化学分析値の残差の変動係数(CV)は6.6%以下となった。しかしCaではそれぞれ.824,13.2%となった。未知試料3群の推定結果から決定係数(r^2)とCVでミネラル成分の推定精度を比較すると,Nが最も高く,K,Mg,Pが続き,Caが最も低かった。集団間の比較では,同一母集団が最も高く,ペレニアルライグラスの採草型管理の集団が続き,オーチャードグラスの放牧型管理の集団は最も低かった。K/(Ca+Mg)当量比とCa/P比についても検討したが,高い推定精度は得られなかった。同一母集団の未知試料群におけるNIRS推定値と化学分析値を比較した結果,P,K,Mg及びNの化学分析値で上位7試料のうち6試料以上がNIRS推定値でも選抜され,これらのミネラルでは選抜母集団の一部を校正用試料群とした場合,オーチャードグラスの個体選抜に使える可能性が見出された。しかし,Ca,K/(Ca十Mg),Ca/Pでは上述のミネラルに比較してNIRSの利用が困難と考えられる。
  • 実岡 寛文, プレマチャンドラ G.S., 金谷 宗昭, 松本 勝士, 尾形 昭逸
    原稿種別: 本文
    1989 年 35 巻 3 号 p. 234-240
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    耐干性の強いトウモロコシ,F1品種のFFR915C,弱いJX77および中程度のG4578を圃場栽培し,播種後40日目に水ストレス区と給水区の2段階の水分処理区を設けた。水分処理後20日目に葉の水ポテンシャル,浸透ポテンシャル及び細胞液の溶質濃度,さらに22日目にleaf rolling(葉の巻の程度)と葉の水ポテンシャル,浸透ポテンシャルおよび膨圧等を測定し,これらの結果よりトウモロコシにおける耐干性の品種間差異を明らかにした。なお,処理20と22日目の各処理区の表層から10cmと土壌水分ポテンシャルは給水区および水ストレス区それぞれ-0.03,-0.50および-0.03,-0.53MPaであった。JX77,G4578に比べFFR915Cでは水ストレスすなわち葉の水ポテンシャルの低下に対して浸透ポテンシャルの低下程度が大きく,しかも膨圧がより高く維持された。この結果,FFR915Cの日中のleaf rollingは他2品種に比べて小さい傾向にあった。水ストレス下での浸透ポテンシャルの低下程度はJX77およびG4578に比べてFFR915Cで大きく,FFR915Cでは水ストレス下で高い浸透調節能力を示した。水ストレスにより細胞液のアルコール可溶糖およびカリ濃度は,マグネシウム,リン等の他の溶質に比べて著しく増加し,その程度はFFR915Cでより大きかった。この結果より,FFR915Cが耐干性に強い要因として水ストレスにより細胞液の糖およびカリ濃度が上昇し,その結果,細胞の浸透圧調節能力が他の2品種に比べて大きいことが推察された。
  • 大竹 秀男, 菅原 和夫, 伊藤 巌
    原稿種別: 本文
    1989 年 35 巻 3 号 p. 241-246
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    放牧条件の異なる牧区の草地におけるフタトゲチマダニの生息密度の経年的な調査結果をもとに,本種の生息密度と放牧条件,特に放牧密度との関係について検討した。牧区間のダニ生息密度の差は極めて大きく,最もダニ生息密度の低い牧区と最大の牧区との間には17.3倍もの差が認められた。また,野草地と牧草地のダニ生息密度の量的関係は一定ではなく,野草地のダニ生息密度が牧草地のそれより必ずしも高くなるとは言えなかった。各牧区のダニ生息密度の年次的な変動は,牧区間ほどではないが,極めて大きかった。この牧区ごとの年次的なダニ生息密度の変動と放牧密度との間には一山型の一定した関係が認められた。すなわち,放牧密度が増加するに従ってダニ生息密度は急激に増加するが,やがて減少に転ずる。減少過程のパターンは放牧密度の増加に従って当初急激に減少するが,再び減少は緩慢となり,低いダニ生息密度で平衡状態に達する。このように,各牧区のダニ生息密度には明らかな上限があり,それは放牧密度に依存している。これは,放牧牛が単にマダニの寄主としてのみならず,マダニ個体群に対して一定の条件下では抑制的働きをも有していることを強く示唆している。しかし,ダニ生息密度の上限の大きさは牧区により異なっており,この上限は牧区ごとの植生を基盤とした生息環境により制限されているのではないかと考える。
  • 篠原 久, 萱場 猛夫, 水間 豊
    原稿種別: 本文
    1989 年 35 巻 3 号 p. 247-253
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    実験小動物種間で繊維質飼料利用特性を明らかにする目的で,アルファルファミール単一と市販の3飼料の計4飼料を給与した場合の成長と飼料の消化能力について,モルモット,シリアンハムスター,マウス,ラットおよびチャイニーズハムスター間で比較検討した。その結果,草食動物のモルモットはアルファルファミール単一の給与下で43日以上生存できなかったが,乾物摂取量は高繊維質飼料より多く,乾物消化率,CWC消化率も高かった。マウスやラットはアルファルファを摂取できない個体が半数以上もおり,摂取した個体も生存に必要な量には至らず,試験開始より10日以内にすべてが死亡した。シリアンハムスターと同種のチャイニーズハムスターはアルファルファ飼料を摂取するものの生存を維持する量は確保できずにマウスやラットと同様に死亡した。これらの動物種は高繊維質飼料条件では乾物量を多く摂取することによって,低い乾物およびCWC消化率を補って可消化乾物摂取量を確保したものと考えられた。これに対して,シリアンハムスターはアルファルファミール単一給与下でも成長し,成熟に達した。このことはシリアンハムスターが乾物およびCWC消化率でモルモットよりも低いものの乾物摂取量を増加させて必要な可消化乾物摂取量を確保した結果であると考えられた。このように,供試した動物種の中でシリアンハムスターはアルファルファ飼料の利用性に関しては特異的であることが示唆された。
  • 古谷 政道, 下小路 英男, 川村 公一, 中住 晴彦
    原稿種別: 本文
    1989 年 35 巻 3 号 p. 254-256
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 池田 一
    原稿種別: 本文
    1989 年 35 巻 3 号 p. 257-261
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1989 年 35 巻 3 号 p. 262-
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1989 年 35 巻 3 号 p. 264-
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1989 年 35 巻 3 号 p. 264-
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1989 年 35 巻 3 号 p. 265-
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1989 年 35 巻 3 号 p. 266-
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1989 年 35 巻 3 号 p. 266-
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 表紙
    1989 年 35 巻 3 号 p. Cover11-
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 表紙
    1989 年 35 巻 3 号 p. Cover12-
    発行日: 1989/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
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