放牧牛の採食行動の定量的分類を目的とし,3年間にわたって延べ16回の短期輪換方式による放牧実験を行い,ビデオ撮影によって日中の採食行動を記録し,採食時間を測定した。日中の採食行動型はその2分ごとの採食時間率(gf)の日内分布から,昼間の採食様式の違いによって(1)gtの分布が三峰型を示し,早朝と夕方に加えて昼間にも集中的な採食期がある型,(2)昼間には短時間の採食を繰り返すだけで集中的な採食期は認められず,早朝と夕方に集中した採食期が認められる型,そして(3)早朝と夕方に集中的な採食期が認められるが昼間の採食期については(1)と(2)のどちらにも分類できない型に区分できた。採食行動を1時間ごとの採食行動ユニット(GU)にまとめ,各GUごとのgtの分布の歪みと尖りの値の正負の組合せによってGUをA, B, CおよびD群に分類した。その結果,いずれの年においても各群の採食時間率(GT)の値は同様の傾向を示し,3年間の平均ではA群のGtは79.7%,B群では60.2%,C群では35.4%,そしてD群では10.4%となり,1時間当りの採食時間にするとそれぞれ48分,36分,21分および6分となった。
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