北海道十勝地方において, 放牧牛糞に生息している食糞性コガネムシ類(コガネムシ料)の分布と発生消長を調べるため, 1977年に十勝管内の帯広, 十勝清水, 士幌, 更別, 広尾, 帯富, 十勝直別および足寄の8ヵ所で, また, 1979, 1980, 1981, 1988及び1993年に帯広において調査を行った。その結果, マグソコガネ, ヨツボシマグソコガネ, キバネマグソコガネ, コマグソコガネ, オオマグソコガネ, ヌバタママグソコガネ, ツマベニマグソコガネ, セマルオオマグソコガネ, スジマグソコガネ, マキバマグソコガネ, ウスイロマグソコガネ, マエカドコエンマコガネおよびツノコガネの3属13種が採集された。この結果は, 北海道の西部及び南部で採集された結果にほぼ一致した。北海道西部で生息数が極めて多いスジマグソコガネは, 十勝地方では極めて少なかった。採集種類数は調査地の5月から10月の平均気温が高くなるに従って有意に多くなった。十勝地方での発生量の多い種として, マグソコガネ, ヨツボシマグソコガネ, コマグソコガネ, およびマエカドコエンマコガネがあげられる。十勝地方における食糞性コガネムシ類の発生消長は, 3つのタイプに分けられた。すなわち年一山型(オオマグソコガネ, ツマベニマグソコガネ, ウスイロマグソコガネ, マキバマグソコガネ, ツノコガネ), 年二山型(マグソコガネ, コマグソコガネ), および全期間出現型(マエカドコエンマコガネ)であった。
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