牧草種子を混入したサイズの大きな牛糞塊を,竹林の伐採跡地に堆積するリター層上に置き,出芽個体の生残と定着を放牧条件下で調査した。比較対照として,種子を直接リター層上に表面播種する処理を設け,両者間の差異を検討した。また,混入種子量の違いが及ぼす影響についても検討した。生牛糞にオーチャードグラス種子1.0gまたは0.5gを混入撹拌し,直径12.5cm,高さ2.1cm,重さ220gの円形ドーム型の種子糞塊を作成した。9月上旬,リター層上に種子糞塊を設置すると同時に,種子を表面播種した。翌年3月に越冬個体数と草高を,5月と9月に被覆面積と草高を調査した。その結果,種子糞塊上はリター層上より越冬個体数,被覆面積,草高について,いずれの調査月においても常に有意に高い値を示した。混入種子量の影響は判然としなかった。竹林伐採跡地におけるオーチャードグラス出芽個体の生残と生育は,種子糞塊上のほうがリター層上より著しく優れ,サイズの大きな種子混入糞塊は,導入牧草のための優れた発芽育苗床となりうることが明らかとなった。
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