黒毛和種去勢牛の肥育期間(肥育前期:8-13カ月齢,肥育後期14-24ヵ月齢)に,乾草および稲ワラの代替粗飼料として,予乾等によりβ-カロテン含量を2.8mg/kgまでに低減した稲発酵粗飼料(イネWCS)を給与し,採食量,増体,血液性状および枝肉成績におよぼす影響を比較検討した。試験区は,対照区(前期:イタリアンライグラス乾草-後期:稲ワラ),前期WCS区(イネWCS-稲ワラ)および全期間WCS区(イネWCS-イネWCS)の3試験区(各区n=6,計18頭)を設定した。1日当たりの乾物摂取量は,全期間WCS区が最も多かったが,日増体量は,各区とも0.8kg以上であり区間に差はなかった。全期間WCS区の血漿中レチノール濃度は他の2区よりも高く推移する傾向にあったが,有意な差ではなかった。この時の全期間WCS区のイネWCS乾物摂取量は1.58kg/日で,19カ月齢の血漿中レチノール濃度は50IU/dLの水準にまで低下した。肉質等級,BMSナンバーは区間に差はなく,BFSナンバーは全頭3であった。以上のことから,黒毛和種去勢牛の肥育全期間(8-24カ月齢)にβ-カロテン含量を低減したイネWCSは,乾草や稲ワラの代替粗飼料として,給与可能であると考えられた。
抄録全体を表示