ガレガ(Galega orientalis Lam.)の単播・経年草地を供試し,秋の3番草の刈取時期を変えた場合の翌年の生育反応とシュートの発生・成長様式との関連を検討した。3番草の刈取時期は翌春のガレガの生育に顕著な影響を及ぼし,とりわけ9月中・下旬の刈取りは,10月の刈取りと比べ,翌春の萌芽の不良と,萌芽茎数の減少を招き,1番草の開花時期は遅れ,1-3番草ともに草丈の低下と,乾物収量の減少を引き起こした。翌年の草丈と乾物収量はそれぞれ,いずれの番草間にも極めて高い有意な正の相関を示したことから,3番草の刈取時期は,翌年の全生育期間において,シュートの生育や乾物収量に持続的に影響を及ぼしたことが示唆された。ガレガの茎葉生産に寄与するシュートの出芽は,融雪後の一時期に限られ,その後地中から新たに出芽するシュートは認められなかった。したがって,ガレガは早春に地中から出芽したシュートが主茎となり,1番草の収量を構成するシュートとなった。1番草の刈取後は,その刈株に残存した腋芽が成長し分枝を形成することにより再生を繰り返した。つまり,2-3番草の収量に寄与したシュートも,その基部やそれと連なる地下部諸器官(地下茎,不定根,根粒)は,1番草の主茎と共通であり,シュートの生育に必要な土壌中からの養水分の供給は,生育期間を通して同じ地下部器官が担ったものと考えられた。そのためガレガは,融雪後の地下部諸器官の体制が,主茎だけでなくその刈株から発生する分枝の発育にまで影響を及ぼし,結果的にシュートの発育(草丈)や乾物収量において,番草間に有意な相関が生じたものと推察された。
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