飼料用米の乾燥調製および保管流通経費の削減を目的として,生籾米を脱ぷ後,玄米を乾燥した乾燥玄米を常温条件下で通年保管するための保管容器および保管場所の検討を行った。その結果,常温倉庫内でポリプロピレン製の外袋のみで玄米を保管すると貯穀害虫が容器内で増殖し,その食害により,乾物中のCPおよびEEの含量が低下したが,同一条件で保管した籾米では貯穀害虫は増殖しなかった。一方,外袋に厚さ0.15mmのポリエチレン製の内袋を組合せて,玄米を保管すると常温倉庫内および野外のいずれにおいても貯穀害虫による食害はなく,保管開始時からの水分,乾物重,飼料成分値,栄養価は変動しなかった。以上の結果より,外袋に内袋を組合せて保管することで,常温倉庫内および野外のいずれにおいても,玄米の通年保管が可能であることが明らかとなった。
牧草育種分野の効率的・客観的な選抜評価法の開発のため,本研究はUAVと画像解析法を利用した。オーチャードグラス圃場において,育種家評価点と画像解析による個体面積およびGreen Red Vegetation Index(GRVI)では三者間で高い相関が得られ,GRVIの有用性が示唆された。他のオーチャードグラスとイタリアンライグラス圃場の育種家評点とGRVIでも高い相関が得られた。曇天下と晴天下の画像のGRVI間の相関は高かった。異なる撮影高度のGRVIを比較した結果,100mまではほぼ同様であった。GRVIを相対値に変換したrGRVIを用いて,オーチャードグラスの育種選抜を行ったところ,約半数が育種家選抜と同一個体であった。以上により,rGRVIを指標に用いた選抜の可能性が示唆された。