ベッチ類の生理学的特性調査の一環として春播性程度の調査を行ない,つぎのような結果を得た。1.春播きの開花可能限界播種期によつて,国の内外の45系統について春播性程度の区分を行ない,7階級に区分した。2.ヤハズエンドウ系統の春播性程度と原産地との関係をみると,近畿,関東地方の系統はIII〜Vの中間,近畿地方のものはII〜Vで中間からやや高く,四国地方のものはII〜IIIで高かつたが,九州地方のものはII〜VIまでの広い範囲のものが存在した。3.開花まで日数は播種期がおくれるほど短縮され,3月17日播きの開花まで日数に対して,もつとも短縮される開花まで日数の関係を(3月17日播きの開花まで日数-最少開花まで日数)/(3月17日播きの開花まで日数)×100であらわし,最大開花日数短縮率とした。最大開花日数短縮率は,春播性程度と密接な関係があり,春播性程度が高いほど最大開花日数短縮率が大である。4.秋期の播種期を3回にわけて,各播種期別の開花始を調査して,各系統の実用的早晩性を明らかにした。さらに春播性程度と早晩性との関係を調査したが,これらの間には一定の傾向は認められなかつた。5.春播性程度の高い系統は,一般に耐寒性弱く,低いものに強い系統が多いが,春播性程度の高い系統の中にも耐寒性の強い系統が2〜3みられた。6.低温処理によつて開花は促進される。春播性程度の低い系統は,低温処理による開花日数短縮率がやや小さい傾向を示した。早生系統は低温による開花促進の割合が高く,晩生系統は低く,低温感応度が小さい傾向を示した。7.春播性程度を中心にして主な実用系統について適応地帯を5群に区分した。
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