地理学評論 Series A
Online ISSN : 2185-1751
Print ISSN : 1883-4388
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83 巻 , 1 号
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論説
  • 藤井 紘司
    原稿種別: 論説
    83 巻 (2010) 1 号 p. 1-20
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    琉球弧の最も南に位置する八重山諸島では,水稲耕作のできない「低い島」からマラリアの蔓延する「高い島」へ耕作地を求めて通耕してきた歴史がある.従来,八重山諸島における遠距離通耕は旧慣租税制度である人頭税〔1637~1902〕によるものとされてきた.本稿は,1903(明治36)年の地租改正による人頭税撤廃以降,つまり近代期における海を越える遠距離通耕の変遷,その消長をあきらかにすることを目的とした.研究方法としては,土地台帳とそれに付随する地籍図,および明治30年代の行政文書「喜宝院蒐集館文書」の分析,また聞書きによるフィールド調査を行った.
    これらの調査によって,遠距離通耕の興隆期は近代期にあったことをあきらかにした.これらの現象は,A)新税法の施行,B)市場経済の浸透,C)「高い島」に位置する村落の衰退,D)技術的な発達などを背景として,「低い島」の過剰人口を吸収する生業適応として興隆期を迎えた.
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  • 神田 竜也
    原稿種別: 論説
    83 巻 (2010) 1 号 p. 21-43
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    本稿では,長門市油谷地区の事例を中心にして,肉用牛繁殖農家の水田放牧導入とその普及要因を明らかにし,水田放牧の規模拡大および新規導入を可能とする条件について検討した.油谷地区における水田放牧の普及要因には,①放牧施設の整備に関連する事業の助成を利用できたこと,②肉用牛飼養の省力化,飼料コストの削減に水田放牧が効果的であること,③畜舎近くのまとまった土地を放牧地に利用できたこと,④地域リーダーの存在を指摘できる.また,放牧地の確保と放牧面積拡大,低コストによる放牧施設の整備,先発放牧農家の指導的役割が,水田放牧の新規導入と継続のための条件として位置づけられる.水田放牧による畜産的土地利用は,耕作放棄の進む中山間地域において,肉用牛繁殖農家の高齢化対策と新たな農地管理策としての可能性を有している.
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  • 谷岡 能史
    原稿種別: 論説
    83 巻 (2010) 1 号 p. 44-59
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    7~10世紀の暖候期(5~10月)における気候について,六国史と『日本紀略』を対象史料として検討した.長雨や干ばつを中心に集計した結果,干ばつは7世紀末~8世紀,長雨は9世紀の特に後半に多く記載されていた.理化学的な気温復元結果から,前者は温暖化の時代であり,7月における干ばつの増加と関連があるとみられる.後者のうち,879~887年は7月に長雨が多く,梅雨前線の北上が遅かったことが示唆される.これに加え,平安遷都という都城の立地条件の変化が史料編者の意識を変化させた可能性もある.また,理化学的データではとらえきれないスケールの小さい変動も記載の変化に関わっていたと考えられる.
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総説
  • 若林 芳樹, 西村 雄一郎
    原稿種別: 総説
    83 巻 (2010) 1 号 p. 60-79
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    GISとその応用技術の普及にともない,それが地理学研究のみならず社会に及ぼす影響をめぐって,英語圏では1990年代から議論されてきた.本稿は,GISと社会をめぐる諸問題について,英語圏の動向をもとに論点を整理し,日本のGIS研究に対する意味合いを考察するものである.まず2000年以前のこうした議論を「クリティカルGIS」と呼んで整理したSchuurman(1999, 2000)の論考をもとに,三つの時期に分けて論調の変化と影響を検討した.その結果,1990年代初頭の社会理論派との反目・対立から,対話・協調へと移行した結果,GISと社会との関係を包含する地理情報科学が成立した過程が確かめられた.2000年以降になると,参加型GISの実践,フェミニズム地理学が提起した質的GIS,科学技術社会論からみたGISと社会との関わり,監視とプライバシーをめぐる法的・倫理的問題などをめぐって研究が進展している.こうした議論を日本のGIS研究に導入するにあたっては,英語圏での論点を的確にとらえた上で,GIS関連技術の普及や制度的・社会的背景の違いにも留意する必要があると考えられる.
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  • 中澤 高志
    原稿種別: 総説
    83 巻 (2010) 1 号 p. 80-103
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    「労働の地理学」は,従来の経済地理学が企業や資本の視座に立脚していたことへの反省から,労働者の行為主体性を正当に評価するべきことを主張し,企業や資本の視座から労働者の視座へと,経済地理学のポジショナリティを転換することを目指している.資本によるフレキシブルな労働力の活用は,労働者にとってはリスクとみなされる.エンプロイアビリティは個人に帰すことのできない地理的多様性を持った状況依存的な概念として再認識され,失業や不安定雇用の原因を労働者のスキル不足に求め,労働市場への参入を動機づけようとするワークフェアの概念は,その妥当性を問われることになる.
    「労働の地理学」において,労働市場は本質的に地理的多様性を持ち,社会的に調整されたアリーナであると認識される.「労働の地理学」は空間スケールを所与のものとみなさず,労働者を含めた諸主体の相互作用によって空間スケールが生み出され,それがより上位/下位の空間スケールと接合している態様を分析するのである.
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短報
  • 高岡 貞夫
    原稿種別: 短報
    83 巻 (2010) 1 号 p. 104-115
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    山地の斜面発達と植生構造との関係性を明らかにするために,梓川上流部のブナ林分布上限域を対象として,ブナ林冠木の分布の特徴を検討した.ブナの出現頻度は,斜面方位では南向き成分を持つ斜面で高く,地形的には尾根や山腹斜面上部を占める平滑斜面よりも,遷急線をはさんでその下方に位置する開析斜面において相対的に大きかった.南向き斜面にブナが多いのは,方位による気候条件の違いだけでなく,地質構造を反映して調査地の一部で斜面の開析が北向き斜面より南向き斜面に卓越することも関係している.平滑斜面と開析斜面とでブナの出現頻度が異なる原因の一部は土壌条件の違いであるが,調査地域全体で常にこの違いが認められるわけではなかった.林分構造に着目すると,緩傾斜の平滑斜面と急傾斜の開析斜面とでギャップ形成様式が異なることが,両斜面間でのブナの優占度の違いに関係していることが示唆される.
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