地理学評論 Series A
Online ISSN : 2185-1751
Print ISSN : 1883-4388
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83 巻 , 3 号
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会長講演
  • 谷内 達
    原稿種別: 会長講演
    83 巻 (2010) 3 号 p. 243-247
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    ある特定商品の生産量や輸出量が世界一であっても,その国の総輸出額や総生産額に占める割合がきわめて小さいことがある.前者を絶対量的視点,後者を相対量的視点と呼ぶことにすると,後者の方がより地誌的である.これまでの地理教育では前者の絶対量的視点が重視される傾向があり,本来あるべき地誌にはほど遠い「物資調達の地理」となってしまっていた.また,いずれの視点による場合でも地域スケールが問題となる.もし国をいくつかの地域に分けると,絶対量はむろんのこと,その地域での部門別構成比のような相対量もかなり異なるものになる.これらを考慮した新たな地誌的記述の枠組の開発が期待される.
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論説
  • 渡辺 理絵
    原稿種別: 論説
    83 巻 (2010) 3 号 p. 248-269
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    本稿は,近世の農村社会における天然痘の伝播過程について,村落間・村落内・世帯内の三つの空間スケールを設定し,伝播が起きる人々の社会的なつながりや行動様式,習俗などを加味して考察した.
    1795~1796年,出羽国中津川郷で起きた天然痘流行は罹患者の大半が10歳以下の子どもであった.子どものモビリティの低さから,周囲の村へ急速に天然痘が伝播することはなく,最近隣村への伝播に1ヵ月を要するほど,村落間における伝播速度は緩慢であった.また積雪などの気象条件や農閑期の副業労働は,子どものモビリティに影響を及ぼす伝播の障壁効果となり,農閑期,降雪期の村落間の伝播は一層緩慢であった.村落内の伝播は,子どもの異年齢集団による行動様式を反映し,集団感染に近い特徴を有している.同世帯における兄弟間の発症率も高い.患児を隔離するような天然痘対策を採らなかった当該地域において,収束までに流行開始前における未罹患者の8割以上が罹患し,次の流行を迎えることとなった.
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  • 大平 晃久
    原稿種別: 論説
    83 巻 (2010) 3 号 p. 270-287
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    本稿では,3種の比喩,すなわちメタファー,メトニミー,シネクドキの認知プロセスとしての役割に注目し,場所が比喩によって構築されていることを認知言語学の視点によりつつ論じた.まず,場所の意味形成の全体像を探るため,場所をめぐる表現や認識,地名による命名を検討し,従来は指摘されていなかった事例も含め,場所に関する比喩を網羅的に提示した.その上で,場所の意味が3種の比喩によってネットワーク状に拡張していることを明らかにした.また場所の意味拡張においては,メトニミーの上にメタファー,シネクドキが働く例が多いという場所の特徴を引き出した.さらに,場所が参照点として成立することに着目して,メトニミーは場所それ自体を構築する認知プロセスとしてみることが可能であることを論じ,意味形成にとどまらない比喩の意義の一端を示した.比喩は場所の言語的構築の基本的な部分に大きな役割を果たしていると考えられる.
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  • 福本 拓
    原稿種別: 論説
    83 巻 (2010) 3 号 p. 288-313
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,東京および大阪における在日外国人のセグリゲーションを国勢調査小地域統計を用いて明らかにし,植民地期の移民とその子孫で構成される「オールドカマー」と,1980年代以降に急増した「ニューカマー」という,渡来時期の違いに着目して分析することにある.本稿ではグローバル指標とローカル指標とを併用することでセグリゲーションの変化を把握する.「ニューカマー」の割合が大きい東京では,セグリゲーションの変化に一貫した傾向は見出せない.一方「オールドカマー」の多い大阪では,「オールドカマー」の社会減を反映しセグリゲーションは低下傾向にあるといえる.東京と大阪を比較すると,特定の町丁字における外国人の増加が新規入国の「ニューカマー」の流入に起因するという点で共通している.外国人の増加は,「ニューカマー」でも入居が容易な民間賃貸マンションの存在とも関連していると推測できる.総じて,両都市におけるセグリゲーションの変動には,「オールドカマー」の存在という歴史的要因および新規入国の「ニューカマー」の流入が大きく寄与している.特に新規入国の「ニューカマー」の動向については,外国人の長期滞在を想定していない日本の出入国管理政策の影響が一定程度あるといえる.
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短報
  • 瀬戸 真之, 須江 彬人, 石田 武, 栗下 正臣, 田村 俊和
    原稿種別: 短報
    83 巻 (2010) 3 号 p. 314-323
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    福島県の御霊櫃峠(約900 m)には,西北西の強風にさらされることが多い斜面に構造土が存在する.この構造土は,扁平礫が露出した帯と植生が密生した帯とが,数十cm~2 mほどの間隔で交互に配列している.両方の帯とも傾斜方向にかかわらず,ほぼ西北西–東南東の卓越風向に伸びる.伸びの方向が最大傾斜方向と直交する所では階状土,一致する所や傾斜が緩い所では縞状土の形状を示し,本稿では「植被階状礫縞」と呼ぶ.本研究では,低標高山地斜面に構造土が発達する点に注目し,その詳細を記載した.階状土部分の断面では,階段状を示すのは堆積物上面のみで,堆積物と基岩との境界面はほぼ一様の傾斜で,地表の礫は植被に乗り上げている.植被階状礫縞は,強風により積雪を欠く裸地で植被が卓越風向に平行な縞状に発達し,凍結・融解で傾斜方向に礫が移動し,卓越風向にほぼ直交する向きの斜面では植被に堰き止められ,ほぼ一致する向きの斜面ではそのまま移動して形成されたもので,現在も発達中と考えた.
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  • 秋本 祐子, 日下 博幸
    原稿種別: 短報
    83 巻 (2010) 3 号 p. 324-340
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    領域気象モデルWRFの入力データ(大気・土地利用・海面水温・地形),および地表面パラメータ(粗度・アルベド)の変化に対する感度実験を行い,それらが地上気温の再現精度に与える影響を定量的に比較した.結果は以下の通りである.
    デフォルトの設定による計算では,日最高気温・日最低気温がともに関東平野全域で過小評価される.大気の入力データとして,デフォルトのデータの代わりに気象庁のメソ客観解析データを用いると,前述した地上気温の過小評価が改善される.土地利用データとして,デフォルトのデータの代わりに国土数値情報の土地利用データを使用すると,熊谷を含む郊外の中小都市の存在が識別できるようになる.その結果,関東平野の北西部で気温が上昇し,地上気温の過小評価が改善される.海面水温データ・地形データの変更,および地表面パラメータの変更は,地上気温の計算結果に大きな影響を与えないことが分かった.
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