地理学評論 Series A
Online ISSN : 2185-1751
Print ISSN : 1883-4388
84 巻 , 5 号
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論説
  • 森川 洋
    原稿種別: 論説
    2011 年 84 巻 5 号 p. 421-441
    発行日: 2011/09/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    「平成の大合併」を通勤圏(日常生活圏)や国土集落システムとの関係から考察した結果,「昭和の大合併」では中心地システムへ適合するかたちの合併が多かったが,高度経済成長期を経て大きく変化した国土の中で実施された「平成の大合併」では,国土集落システムへの適合が基本的条件となった.過疎地域が広い面積を占める地方圏では小規模町村の多くが合併したが,市町の規模が大きく財政的にも豊かな大都市圏内の市町村では合併は比較的少ないままにとどまったので,住民生活における地域格差をむしろ拡大することとなった.通勤圏の未発達な山間僻地や離島には未合併町村が多く残されているが,通勤圏や日常生活圏を全く無視した市町村合併は少ない.
総説
  • 松永 光平
    原稿種別: 総説
    2011 年 84 巻 5 号 p. 442-459
    発行日: 2011/09/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    中国黄土高原の環境史をめぐる研究動向を分野横断的に整理し,今後の研究の課題と方向性を示した.黄土高原の環境史研究は,「人為的植生破壊が土壌侵食を加速させ,黄河の洪水頻度を高めた」という歴史地理学の主張の一方,地質学は「森林は山地のみにあって黄土高原の大半の原植生は草原であり,植生減少を駆動したのは寒冷乾燥化である」と反論するなど,分野ごとに切り分けられてきた.しかし,両者の研究対象のスケールが異なったため,黄土高原の土壌侵食に及ぼす人間活動と気候変動それぞれの影響はいまだ不明瞭である.この課題に対して本稿では,時間・空間スケールの指標として「地形」に着目する.地形が変化しているにもかかわらず,これまで多くの研究者は,現在の地形区分を過去に適用していた.人間活動と気候変動とが土壌侵食に与えた影響を解明するためには,地形の発達を踏まえて黄土高原の環境変遷を明らかにすることが必要である.
短報
  • 久保 倫子, 由井 義通
    原稿種別: 短報
    2011 年 84 巻 5 号 p. 460-472
    発行日: 2011/09/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    本研究は,「メジャーセブン」と呼ばれる主要なマンション事業者によるマンション供給の特性および供給戦略を分析し,1990年代後半以降の東京都心部におけるマンション供給の変化を明らかにすることを目的とした.1990年代後半以降,東京都心部においては「コンパクトマンション」と呼ばれる小規模世帯向けの分譲マンションが供給されるようになった.メジャーセブンによるコンパクトマンションの供給は2000年以降単身女性向けに始まった.2005年以降は,単身男性や核家族による都心部でのマンション需要が顕在化したことを受けて,事業者によって,超高層マンションの供給を中心としコンパクトマンションをこれに取り込んだものや,高級なコンパクトマンションに特化したブランドを確立したもの,さらに東京周辺区部での比較的安価なコンパクトマンションの供給を進めたものなどに分化していった.事業者によって,コンパクトマンションの供給地域や販売価格,対象とする世帯が異なるため,東京都心部においてはコンパクトマンションの供給戦略は多様化した.これによって,東京都心部においては,住宅タイプによる居住分化がより複雑化したと考えられる.
  • 小栁 真二
    原稿種別: 短報
    2011 年 84 巻 5 号 p. 473-489
    発行日: 2011/09/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,日本における大学発ベンチャー企業の立地動態を明らかにすることである.筆者は,全国規模でのアンケート調査を独自に実施するとともに,母体機関との関係のあり方,および事業の性質という二つの基準によって大学発ベンチャー企業を4類型に区分した.この類型区分に基づいて,設立時点と調査時点の立地を比較し,立地行動とその要因を分析した.結果として,母体機関との関係が強い企業は,事業の性質にかかわらず母体機関との近接性を重視して地方圏にも立地し続け,事業拡大に際しても支所配置により母体機関への近接性を保ちながら市場へのアクセスを確保していることが明らかになった.一方で,母体機関との関係が弱い企業は,近接性を重視せず,事業の性質によっては大都市を指向して移転を行う傾向が確認された.これらの知見は,大学発ベンチャー企業の立地行動を母体機関との近接性だけで特徴づける既往の研究に異論を呈するものである.
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