濃尾平野で得られた合計2,701本のボーリング柱状図の土質区分とN値によって,沖積層を基底礫層,下部砂層,中部泥層,上部砂層,沖積陸成層,人工改変層に区分した.この層序区分と218点の14C年代値によって,地層境界面および等時間面標高データベースを作成した.これらのデータベースを基に,GISを用いた空間解析を行い,沖積層の3次元構造と堆積土砂量を復原した.その結果,中部泥層よりも下位面には谷地形が認められること,その谷地形はデルタの前進に伴う中部泥層や上部砂層の堆積によって埋積されていったことが明らかになった.また,1,000calBP以降は,沖積陸成層の堆積域が現在の三角州まで達し,陸上デルタが広範囲に拡大した.過去6,000年間の堆積土砂量は約211015gと推定される.特に,1,000calBP以降に急激な増加が認められる.これは,流域における農耕や森林伐採といった人為的影響によって土砂生産量が増加したことに起因すると考えられる.
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