地理学評論 Series A
Online ISSN : 2185-1751
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88 巻 , 6 号
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論説
  • 最上 龍之介, 橋本 雄一
    2015 年 88 巻 6 号 p. 571-590
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2019/10/05
    ジャーナル フリー

    本研究は東日本大震災以降の津波浸水想定の変更を踏まえて,積雪寒冷地の認可保育園における集団避難の取組みに関する現状と課題を検討した.対象地域には,積雪寒冷地である北海道道東地域において津波浸水想定域内の人口が最多となる釧路市を選出した.釧路市の認可保育園を対象とした聞取り調査から,移動面と運営面に関する次の課題が明らかになった.移動面の課題は,避難先まで長距離の移動を要する保育園がみられる点であり,冬季には積雪や路面凍結により歩行速度や避難効率が低下し,避難時間が増大することであった.運営面の課題は,東日本大震災以降,避難先に指定された高層建築物は暖房設備を十分に備えておらず,冬季には低温環境で乳幼児を長時間待機させなくてはならないことであった.さらに,郊外の保育園は市街地中心部の保育園と比較して,冬季の積雪や路面凍結,低温の影響を受けやすく,避難困難の問題は深刻度を増す可能性が指摘された.

  • 埴淵 知哉, 中谷 友樹, 竹上 未紗
    2015 年 88 巻 6 号 p. 591-606
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2019/10/05
    ジャーナル フリー

    健康を左右する一つの因子として,近隣環境への研究関心が高まっている.しかし,これまで日本を対象とした事例研究の蓄積は不十分であり,国際的にも全国的範囲を対象とした分析は限られていた.本研究では,人々が暮らす場所の近隣環境によって,健康に由来する生活の質(HRQOL)が異なるのかどうかを統計的に分析した.認知的および客観的に測定された近隣環境指標と,HRQOLの包括的尺度(SF-12)との関連性を,日本版総合的社会調査2010年版を用いたマルチレベル分析によって検討した.分析の結果,近隣環境を肯定的に評価・認知している人ほど,健康に由来する生活の質が高いという関係が明らかになった.他方で,客観的に測定された近隣環境指標はHRQOLとの独立した関連を示さず,場所と健康の間を取り結ぶ多様な作用経路が示唆された.

短報
  • 福井 一喜
    2015 年 88 巻 6 号 p. 607-622
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2019/10/05
    ジャーナル フリー

    本研究は宿泊施設の経営戦略に着目して,群馬県草津温泉の宿泊業におけるインターネット利用の動態を,各施設の誘客,予約受付,関係構築・維持の3段階におけるネット導入の状況分析から明らかにした.結果として,大規模施設や社会組織加盟率の高い施設で導入率が高く,予約受付段階では広く導入済みだが誘客と関係構築・維持段階での導入は限定的であり,導入状況に差異が見られることが分かった.それは,情報通信技術の普及と個人旅行化が進む中,多様な個人客需要に対応する新たな経営戦略を策定した施設がネット利用をその具現化手段として積極導入して差別化を図る一方,従来の経営戦略で存続できる施設や人材や資金に余裕がなく現状維持を志向する施設はネット利用の導入に消極的なままだからである.草津温泉では,宿泊施設がおのおのの経営戦略においてネット利用を選択的に導入する中で,宿泊施設の利用形態が分化しつつある.

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