森の資源に依存して暮らす人びとが生涯を通じて植物知識をいかに獲得していくのかを検討するために,エチオピアの焼畑民マジャンギルを対象に植物知識を測るテストを実施し,その結果を性・年齢に注目しつつ分析した.テストは植物名の知識,樹木利用知識,樹木の断片から樹木名を同定する能力,というレベルの異なる3種を設定した.その結果,植物名と利用知識では,10歳代には急激に,20歳代以上には緩やかに,年齢とともに得点が増加する傾向が認められる一方,生業の性分業に由来すると推測される知識量の性差がみられた.同定テストでは,30歳代までは年齢が高くなると得点も高くなる傾向があるのに対し,40歳代以上では逆に年齢と得点に負の相関が認められ,知識のレベルによって獲得・維持パターンが異なるという結果が得られた.以上の結果と生業活動に関する情報を合わせ,植物知識が生業活動と密接に関連しつつ獲得・維持されるという示唆が得られた.
本稿では,渡日中国人技能実習生の増加鈍化期における中国山東省青島市の送り出し機関に注目し,送り出し方針の転換とそれに伴う機関群の再編を考察した.日本に特化した送り出しを行ってきた各機関は,技能実習業務から撤退したり,派遣地域と業務内容の多角化を図ったりした.方針の転換は,大きく「多角化型」と「維持型」の2つに整理することができる.その結果,青島市の機関群の一部では,送り出し方針の多角化・高度化を通じた機関間の「棲み分け」が進行している.
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