糸魚川–静岡構造線活断層系の南部区間に位置する白州断層の地形地質調査を行い,平均変位速度と,最近2回の古地震イベントの発生時期および変位量を明らかにした.尾白川右岸地点においては,過去9,000年間の平均変位速度は段丘面の形成年代と上下変位量から0.56 mm/yrと推定された.トレンチ調査によって最新活動時期は2,110–1,640 cal BP, 1回前の活動時期は4,280–2,990 cal BPと推定され,上下変位量は最新活動で1 m, 1回前の活動で0.5 mであったことが明らかとなった.周辺の活断層の活動時期との対比から,最新活動は糸魚川–静岡構造線活断層系の中南部~南部区間が同時に活動した可能性が高いと考えられる一方,1回前の活動は白州断層単独の活動であった可能性が考えられ,活動区間の長さの違いが地震時変位量の違いに対応することが示された.最近2回の活動間隔は従来の研究の推定の半分程度となる880~2,640年であり,最新活動からの経過時間はこの活動間隔に匹敵することが明らかになった.
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