地理学評論 Series A
Online ISSN : 2185-1751
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ISSN-L : 1883-4388
97 巻, 2 号
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論説
  • 北西 諒介
    2024 年 97 巻 2 号 p. 73-97
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2025/05/15
    ジャーナル フリー

    近年の地名研究では,地名の由来や語源の探求だけでなく,地名の使用を場所形成のプロセスの中に置いてとらえる見方が盛んである.しかし,こうした潮流は地名分析の幅を広げた一方で,地名が複数の意味を持っていることが見過ごされているという問題点ももつ.本論文では地名学のさらなる発展を目指す立場から,地名を多様な主体による多様な意味づけの対象としてとらえ,それらの意味の総体としての地名が果たしている機能について考察した.具体的には,大阪府の千里ニュータウンで展開される地域活動に着目し,その関係主体によって「千里」という地名が多義的で曖昧な存在としてとらえられていることを示した上で,その曖昧さがそれぞれの主体の間での活動に対する志向の差を埋め,結束させる役割を果たしているということを指摘した.

  • 杉浦 芳夫
    2024 年 97 巻 2 号 p. 98-123
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2025/05/15
    ジャーナル フリー

    戦前から内務省技師として日本の国土計画に携わった北村徳太郎は,戦後,戦時中に学んだドイツ国土計画論を日本の集落状況に落とし込んだ,「中心部落–邑街地–小都市・町–中都市–大都市」から成る中心集落の階層的構成論を考えついた.そして,それを1953年に始まる「昭和の大合併」によって生まれた新都市の建設に活かそうとした.北村は持論をまとめていく過程において,ドイツ系アメリカ人建築・都市計画学者のLudwig HilberseimerのThe new regional pattern: Industries and gardens, workshops and farmsを読み,その中で紹介されているChristallerの中心地理論と,ドイツ国土計画論との間に関係があることを見抜いた.そのことを北村に最終的に確信させたのが,1956年に発表された村松繁樹の『都市問題研究』掲載論文であった.

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