地理学評論
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33 巻, 1 号
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  • 中野 尊正, 武久 義彦
    1960 年 33 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1960/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    新潟の地盤沈下の諸原因のうち,地殻運動および表層の圧密に起因する沈下量を吟味することがこの小論の目的である.
    第三紀層において認められる地殻運動が冲積世にまで及んでいることは,新潟平野縁辺の各地で地形,地質の上に認められる.一方地表下においては,洪積世末の最終氷期の低位海面に対応する扇状地礫層と考えられるG1層は,当時の海面よりはるかに下位に位し,後氷期以降今日まで年平均して3.7mm/年(市内山の下)の沈下を示したと考えられる.水準測量が最初に行われた1899年いらい60年間にG1層は220mmほど地殼運動により沈下していると云える.一等水準点標石の地形,地盤的な立地条件を調べ沈下量との関係をみると,表層の圧密に起因すると考えられる沈下量はここ60年間に50mm内外と考えられる.
    以上により1899年いらい1958年まで60年間に認められている新潟の地盤沈下量のうち,地殻運動に起因する部分は50%,表層の圧密によるもの10%,その他ガス水汲み上げ等人為的原因によるもの40%ということができる.最近示されている異常な沈下量については前二者すなわち,自然的原因による沈下の占める比率は5%以下にすぎない.
  • 江波 戸昭
    1960 年 33 巻 1 号 p. 10-26
    発行日: 1960/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    日本資本主義の発展を全機構的にとらえるには,産業資本の発展と地主制の展開との2つの側面から検討が加えられねばならない.本論では,日本で最初に全国的統計を利用しうる1880年代についての統計処理を通じて,その両側面からの地域構造の把握を試みた.ここで指標としてとりあげたのは,地主制の展開をみるための小作地率と,産業資本の形成をみるための工場数である.この両者を郡別に検討してみると,つぎのことが指摘しうる.
    小作地率の高い地主制の発展した地域と,工場数の多いマニュファクチュア地域とは一致しない.すなわち,小作地率が高いのは一般に,一定段階の生産力水準に達した水田地帯であるのに対し,マニュファクチュア地域は商業的農業の発達した畑作地帯に当つている.この限りでは,従来とかく結びつけられがちであつた,地主制と産業資本とが異つた地域において.異つた農民層分解の過程の中から生れつつあつたことを推察せしめるものである.
  • 吉田 義信
    1960 年 33 巻 1 号 p. 26-43
    発行日: 1960/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    本稿は主として昭和33~34年冬季において,栂森北西斜面の標高500~1,300m間に,高度50m毎に17の測点を設けた9回の調査と,昭和34年2月27~28目に,建設を予定されてる米沢湖集水域67.36km2を66の測点で調査した結果である.栂森北西斜面における積雪深・積雪水量の高度分布は,標高1,000m以上の直線関係部分と,その下部のconvexな曲線関係部分との結合からなる.下部の積雪全層平均密度の高度分布は,concave な曲線をなしてこれと対応している.かかる高度分布形態をとる理由は,板谷峠から吹き込む冷たい偏東風による積雪保存効果によるものと考えた.積雪水量高度分布の時期的変化は,高度700mと1,000mとを境として3つの型に分れ,高所になるほど最高に達する時期が遅れる.しかし33~34年は, 2月中旬~3月中旬の融雪流出により,平年において最高に達する時期のピークを欠いた.米沢湖集水域の積雪水量算出に当つては,消雪地の面積を除き,覆雪度を写真や観察によつて定めて実測値を修正して用いかくて1,564万トンと計算されたが,継続的調査から,平年は3,500万トン,最大量は6,200万トンと推定した.
  • 1960 年 33 巻 1 号 p. 44-50_1
    発行日: 1960/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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