地理学評論
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33 巻, 11 号
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  • 町田 貞, 大倉 陽子
    1960 年 33 巻 11 号 p. 551-563
    発行日: 1960/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    中央構造線にそつて流れる豊川沿岸の段丘地形および堆積物を調査して,その形成過程およびそれに関係した新しい地盤運動の様式を考察した.
    本地域には上,中,下の3段の段丘がある.上位段丘は右岸(内帯側)に広く,高師原面に対比される.中位段丘はもつとも広く分布し,やはり右岸に広い.下位段丘は2面に細分でき,そのうちの高位のものは中位段丘との中間段丘であり,低位のものは下流で現在の氾濫原に移化する(第3, 4図).上位および中位段丘においては,内帯側では新城町付近を境としてその両側で,分布,高度の状態が異なり,下流部では上位段丘のすべておよび中位段丘の一部は扇状地的形態であり,段丘面の勾配も急である(第1表).
    段丘堆積物を調査すると,上流から由来する礫をまじえた豊川本流の堆積物と,内帯側山地を構成する岩石の角礫だけからなる支流の堆積物との2種がある(第2表).前者を段丘礫層,後者を扇状地礫層とよぶ.後者の分布は,先にのべた扇状地的形態をあらわす場所と一致している(第5, 6, 7図).
    また,内帯側山地の山麓部には,基盤をきるいくつかの小断層があり,直線的な急崖や,ケルンバット,ケルンコルの方向と似た走向をもつものが多い.
    以上の資料から,段丘面の形成過程,地盤運動の様式を推定した.すなわち,上位段丘面形成時は,それ以後の面の形成時よりも堆積作用が盛んであつた.そして,段丘礫層の堆積にひきつづいて内帯側では支流による扇状地の形成がおこなわれたが,このことは内帯側山地が外帯側よりもより隆起する傾向をもつことを意味するものと考える.このような傾向は,次の中位段丘面形成時にもみられるが,その規模は小さく,さらに次の下位段丘面形成時には認められない.また,内帯側でも新城町から下流部でこの傾向が顕著である.各段丘面の縦断面形はすべて下流に向つて収斂しているが,これら段丘崖を形成させたような隆起運動の様式は,どの時代にも,上流ほど隆起量が大きかつたものと解釈される.このような傾向は,より古い面である天伯原にみられる運動とは反対の性質である.
  • 榧根 勇
    1960 年 33 巻 11 号 p. 564-572
    発行日: 1960/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    東京を中心とした半径約30kmの地域における目最低気温分布の実態を把握し,都市気候学的卓場から解析した.該当地域内の区内気候観測所28地点の毎目の最低気温を用いて,冬期3カ月3年間の270枚の気温分布図を描き,これを分布のパターンに基づいて5グループに分類した.次に各々のパターンについて,雲量・風速・風向・気温・水蒸気圧の大きさ別の頻度分布を求め分布パターンと気象要素との関係を調べた.最後に都市内部の高温が最も良く発達するような天候状態について吟味した.結論として本論のまとめに挙げた諸結果が得られた.従来までに述べられてきた結果とほぼ一致するが,風速の影響については若干異なるようである.
  • 長尾 隆
    1960 年 33 巻 11 号 p. 573-587
    発行日: 1960/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    大陸の東西での気候状態のちがいを気団の南北混合という見地から説明しようと試みた.
    混合の度合の地域的な分布を示すためブロッキング発生の経度分布,上層における偏西風の波の振巾,地上における高・低気圧出現率の分布,地上および3kmの高度の日平均気圧の標準偏差,月平均気圧の標準偏差の分布等を調べた.その結果これらの量はいずれも大陸の東岸で小さく,反対に大陸の西岸で大きい値をとることが分つた.これらの値はじよう乱のはげしい時に大きくなることから,大陸の西側では熱の南北交換が大きく,東岸では熱の交換の少いことを意味し,容易に次のような温度分布の特徴を説明できることが分つた.すなわち,
    1. 大陸の西岸:高緯度で高温,低緯度で低温.
    2. 大陸の東岸:高緯度で低温,低緯度で高温,
    なお温度分布の経度線に沿う断面を比較して大陸の東および西で,それぞれ高温と低温とはほぼ補償し合つていることも明らかになつた.
    つぎにこのような温度分布から期待される空気中の水蒸気量の分布を論じ,それによつて年降水量300mmの等値線と-29°Cの等温線,年1000mmの線と-1°Cの等温線がそれぞれ大体一致しているこどを含めて,年降水量分布の特性の多くを説明できることを示した.
  • 花咲港の場合
    伊藤 久雄
    1960 年 33 巻 11 号 p. 587-595
    発行日: 1960/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    1) After World War II, off-shore fishing industry such as salmon drift net fishery, banding fishery, and mackerel-pike stick-held dip net fishery, etc. has developed in eastern Hokkaido,
    2) Hanasaki, Habomai, Akkeshi, Hiroo and Kushiro ports serve as bases for the off-shore fishing industry. Hanasaki port ocupies the second place in the total produce of salmon caught by drift net fishery next to Kushiro port, and vies with Kushiro for the first position in the total catch of mackerelmpike.
    3) The reasons for the development of fishing industry at Hansaki port are as follows 1. Geographical position.
    2. Proximity to the fishing ground.
    3. Good port facilities.
    4, Financial assistance and good labor condition.
    5. Tranformation of fishing industry around. Nemuro changed from coastal fishing to off-shore fishing.
    4) The development of of Hanasaki port as a center of fishing industry has greatly contributed to the economic rehabilitation of Nemuro and its own urbanization. Inasaki port is one of the bases for off-shore fishing like Kushiro and Akkeshi but its characteristics are its development and transformation as part of Nemuro.
  • 1960 年 33 巻 11 号 p. 596-606_2
    発行日: 1960/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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