1958年3月8~24日,東京都内の水平面日射量の地理的分布を測定した.観測は定点観測と移動観測を併用した.定点観測にはエプリー日射計4台,ゴルチンスキー目射計1台を使い,これ等を自記記録計に電接して,観測期間中の日射の連続記録をとつた.定点は都心部(気象庁,教育大),西部(高円寺),江東(向島),羽田空港に設けた.移動観測は2組ないし1組の観測班が.ゴルチンスキー日射計とmVメーターを携行し,あらかじめきめた観測ルートにたがつて,自動車または電車を使つて移動し,観測を実施した.観測開始は9時半,終了は16時で,太陽高度が高く,日射強度の変動が小さい時期で,この間に各班は15~17点で,日射観測を行つた.移動観測は8, 13, 17, 19, 24日の5回実施した.観測値は同時刻の近接定点の値と比較し, %で示し,これをさらに同時刻の教育大の値の%に換算して表示した. 1~10図はその例である.
観測は必ずしも天気のよい日にだけ行われなかつたが, 5日とも,都内にいちじるしい日射強度の地域差が認められ,最大の地域差は50%以上に達した.一般に西北郊に日射は強く110%以上だが,江東・大森・川崎地区は40~50%という低い値を示す場合が多かつた.
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