地理学評論
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34 巻, 2 号
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  • 赤木 祥彦
    1961 年 34 巻 2 号 p. 55-67
    発行日: 1961/02/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    中国山地に発達しているペディメントのうち, 3段の侵蝕平坦面の境に発達しているそれにっいて検討したが,結果は次のようである.
    (1) ペディメントは比高のある崖の前面で,しかもペディメントの部分が花崗岩類で構成されており,背後急斜面の頂上部,あるいは大部分が硬岩層で構成されている所に発達しており,岩石の種類・配置によつて制約されている.
    (2) 背後急斜面とペディメントの間には傾斜の不連続部がある.
    (3) ほとんどのペディメントが小谷によつて開析されており,現在ではペディメントは発達していない.
    (4) ペディメント上はすべて角礫ないし亜角礫が花崗岩の風化土壌をマトリックスとして堆積しており,その中に不規則にシルト層が堆積していることがある.
    (5) ペディメントは急斜面が風化作用・重力の働き・雨水の働きにより後退してその概形が形成され,礫の移動によりさらに侵蝕されたと考えられる.礫の移動は主に重力の働きによるのではなく,流水の働きによつた.
    (6) ペディメント形成当時の気候はおそらく,現在より,より乾燥した気候であつたであろう.
  • 大迫 輝通
    1961 年 34 巻 2 号 p. 68-82
    発行日: 1961/02/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    三重県北勢地区の桑園衰退について,とくに桑名・四日市臨海工業地帯の発展との関連,ならびに茶樹栽培との競合関係を中心に考察した結果,次の諸点が明かになつた.
    (1) 北勢地区はかつて多かつた中勢に代り,現在三重県桑園分布の中心地帯をなしている.地域内部においては,最盛期当時普く分布した桑園も,その後の衰退については地域差が著しく,現在は三重郡・員弁郡の中間地帯から鈴鹿山麓にかけての地域に凝集的に残存分布して,南部地区と臨海地区ではその稀薄地帯となつている.
    (2) 北勢の残存桑園は,地形的には丘陵・台地斜面や山麓傾斜地に,地質的には洪積層上の黒ボク地帯を中心に,用水的には天水灌漑のジ中でも旱越の危険の大きい畑地帯に広い分布が見られる.しかしてかかる地域の低位生産性が地帯の農家をして桑園を固執せしめる重要な原因となつている.
    (3) 近時,北勢各地において各種作物裁培の地域分化が進展しつつあるが,とくに芋類・野菜・茶などの商品作物の滲透は:地帯の桑園復活を阻止し・またこれを駆逐しつつある・ことに鈴鹿郡を中心とする南部地区の桑園激減は,この地域の茶園増加が主要な原因となつている.両者は従来,土地利用上激しい交代関係をくり返してきたが,これは労働上における両者の競合関係によるものである・現在茶園は内部川扇状地付近の黒ボク地帯が分布の核心地域となつている.
    (4) 桑名・四日市両市を中心とする臨海工業地帯の顕著な発展はその近郊の農業構造上,ひいてはその養蚕(桑園)経営の上に大きな変化を与えつつあるが,ことにここから多量の労働力を吸収し,その兼業化を促進したことは,一般農業経営よりも多量の労働力を必要とする養蚕経営を困難にして,この地域における養蚕からの離脱と著しい桑園衰退の原因となつた.北勢各地区の兼業率は,桑園残存率と明瞭な相関が認められる.
    なお,高兼業率地帯における養蚕経営は粗放化の傾向が著しいが,かかる地帯の桑園は労働不足による土地の粗放経営の手段として残存維持せられている傾向が強く認められる.
  • 米国選挙制度の矛盾
    清水 馨八郎, 鯉淵 順子
    1961 年 34 巻 2 号 p. 82-96
    発行日: 1961/02/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    都市化の進展と交通の発達による人口の地域的変動は現代世界の最も著しい現象の一つである.このため行政圏と生活圏,制度と現実とのヅレは各地で深刻な社会問題となつている.これらの現象のうちここで対象選挙区制度と現実との不均衡の問題は,戦後の社会変動のはげしかつた日本ほ勿論,米国においても重大な課題となりつつある.
    選挙区の固定化とその矛盾がどのように政治に反映するかといつた政治現象も,これを地理学としては一種の地的制約として捉えることができる.現状のごとき区割の固定化が続けば,一見民主主義的な選挙も,実は漸次地盤主義つまり地主主義へと移行してゆく.日本の11月総選挙でもこのことが明瞭に現われ,選挙区制度改正の要望は国会の内外から台頭した.これは地理学の実践の場としてもよき機会でもある.
    本稿は都市化のはげしい米国について同様の問題が指摘される事実を,過去の選挙結果から分析したものである.更に本稿は一見合理主義的にみえる米国の選制度の甚だしい不合琿を指摘し,問題点を整理して,日本の選挙区割制度改正への参考にしようとしたものである.
  • 河辺 宏
    1961 年 34 巻 2 号 p. 96-108
    発行日: 1961/02/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    生地別人口統計,動態統計および生存率による人口移動の推計方法は,人口移動登録資料を持たない国の人口移動資料を得る主な方法である.
    筆者は, 1950~55 年の日本の国内人口移動を,生存率による方法で,各県の市部,郡部別に推計した. 1950年の性・年令別人口資料が得られないため, Shortcut method による方法を採用し,補正因子を使つて,年令構成による誤差の補正を行つた.
    日本の人口移動は,基本的には農業県から工業県への流出,および同一県内の農村部から都市への移動という2つの流れにより構成されているが,上述の方法による資料から,東京,大阪をはじめとする8大都府県への人口集中が最も特徴的であることがわかる.特に東京,大阪のそれは著しく,大きい人口流入量と高い移動率を持つている.また市部がマイナスの移動率を持つ県は24に及び,相当多量の市部がstationaryまたは滅少の人口状態を持つていることを示し,人口の大都市への集中が,工業化のおくれた県の市部人口の流出にも依つていることがわかる.
    人口の都市集中の傾向は,各県の市部,郡部移動量を比較することにより, (1) 市部・郡部人口の遠距離移動, (2) 局地的都市集中, (3) 遠距離の人口集中,の3つの型に分類され,それぞれの県市部の持つ人口吸収力の大きさにより,各府県は上の3型のいずれかに属する.
    兼業率,非農業部門への就業機会は移動率と相関々係を持ち,これらが人口移動状態を変える最も基本的な要因であると考えられる.またこれらの相関関係は,地域的な分布を持つている.
  • 1961 年 34 巻 2 号 p. 109-119_1
    発行日: 1961/02/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
  • 1961 年 34 巻 2 号 p. 119-120
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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