地理学評論
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34 巻, 4 号
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  • 太田 勇
    1961 年 34 巻 4 号 p. 187-200
    発行日: 1961/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    工業用水の諸問題を用水費に集約して,わが国における工業用水費の地域的差異を概観した.地域の水経済と工業立地には密接な関係があり,工業用水費は地域の水経済を表わす一指標と考えられる.工業用水費が地域的に異なる現象は,自然条件に恵まれているかどうかが基礎となつているが,工業の発達程度に関係した「地域の水経済の変化」に対応するものである.わが国主要工業地域の水経済をみると,大規模な重化学工業が集中する京浜・阪神などの工業地帯が劣悪な状況を示し,重化学工桑の発達が比較的おそい北陸・東海地方にすぐれた状況を有する地域がある.自然条件に恵まれていても工場の集積にともなつて淡水取得が困難になれば,工場は水費の高い公営水道へ依存する割合を高める.いわゆる4大工業地帯はこの例に属し,工業用水の加重平均単価は東海・北陸のそれより3-8円も高い.工場が自から取水する淡水分だけをみても,前者地域が2-3円であるのに対して後者は1円以下である.前者には自家取水が不可能となつた地域すらある.近年工業用水問題が重視されるようになつたのは,工業用水の絶対量の不足や,用水費が上昇傾向をたどりつつあることが大きな原因ではあるが,上述のような工業用水費の地域差も,注目しなければならない重要な事柄である.
  • 斎藤 光格
    1961 年 34 巻 4 号 p. 200-221
    発行日: 1961/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    本論説は,「統計からみた山村および漁村の兼業農家の性格」経済地理学年報 (1960) の続篇である.そこでは兼業農家の地域性を,農家外部の条件と比較しつつ議論を進めた.この小論では,内部条件との関係に中心を置く.
    まず兼業農家率と経営耕地面積の地域性の間の相関関係を検討し,次いでそれより高い係数の予想される農業粗収益,労働投下量との相関をみた.係数はそれぞれ-0.58, -0.65, -0.73である.
    このように次第に高くなる理由を具体的に地域別に検討すると,農業労働の収益性および受容力,経営耕地面積が重要であることがわかる.この場合の農業の労働受容力は,農業の限界収益と外部の賃金水準との均衡から生ずるとみるべきではない.わが国のように雇傭が限られている場合は,むしろそれとは別個に,収益性は低くとも自然条件の許す限り,農業部門の労働集約化が行われる.これを労働の受容力を呼ぶべきである.
    上述の3要因のうちまず前の2要因を組み合わせて, (1) 収益性の低い労働粗放的な地域, (2) 収益性の高い労働粗放的な地域, (3) 収益性の低い労働集約的な地域, (4) 収益性の高い労働集約的な地域の4種を得,さらにこれを平均経営耕地面積の大小によつて4区分し,合計16種の地域を得た.このうち14種の地域が現実に存在する.第11図びつにこれらの地域を図示した.
    第1図とこれを比較しつつ兼業との結合を検討すると1-4へ,経営耕地面積については小-大へと兼業との結きが強くなる.
    最後に具体的な兼業の条件と結びつけ,農家経済上に問題点のある地域を概観した.
  • シャイドル レオボルド
    1961 年 34 巻 4 号 p. 222-228
    発行日: 1961/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    本論文はオーストリア連邦共和国の概観,天然資源(農林・地下資源・水力),交通,貿易,市場の立地条件の記述に始まり,工業生産の分布についてまとめ,ついでオーストリア各州の工業構成を分析したものである.この中で興味ある事実は31),オーストリアがルーマニア,ドイツについで石油産出国であり,天然ガス(石油性)の産出も非常に増加していること,鉄鉱石,マンガンの産額が需要の4分の3を満たしていること,水力電気も豊富で,生産電力の10%を輸出するほど豊富であることである.労働力も十分あり,産業開発が主として西部において行われたために,労働力が東から西へと移動をみている.鉄鋼,アルミ,化学工業は戦前から発達していたが,戦後に復興と設備の更新が行われると共に,主要産業の国有化が行われた.リンツにあるVÖEST製鉄所と,レーベン・ドナウィツ(上スティリア)のÖAMG製鉄所を合せた銑鉄(184万トン),粗銅(252万トン),ロール製造(172万トン)(以上1959年統計)は,オーストリアをしてヨーロッパ内での有力な産鉄国としている.アルミ製造に関してもヨーロッパで最大の工場の一つを持つている.またオーストリアのレンツィンク・スフ会社は,同種のものではヨーロッパ最大の工場を持ち,スフ生産(5.23万トン)の60%を輸出している.
  • 木内 信蔵
    1961 年 34 巻 4 号 p. 229-243
    発行日: 1961/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
  • 1961 年 34 巻 4 号 p. 244-257_2
    発行日: 1961/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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