地理学評論
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34 巻, 5 号
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  • 阪口 豊
    1961 年 34 巻 5 号 p. 259-268
    発行日: 1961/05/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    ここでいう完新世とは現在まで続くユースタティックな海面の上昇が始まつたとみなされる, Würm最盛期終末以後を指すことにする.本州中部以北の泥炭地とその周辺の地形の研究によつて,完新世の気候変化について次のような知見を得た.完新世初期には気候は現在よりもはるかに寒冷であつたが,その後気温は上昇し,乾燥した.しかし, B. C. 1,000年頃に気候は急変し,気温は低下し,湿潤になつたが,紀元前後に再び乾燥化した.
  • 堀内 清司, 安部 喜也
    1961 年 34 巻 5 号 p. 268-279
    発行日: 1961/05/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    人造湖の水温成層は,自然湖の水温成層とはかなり違つている.その原因は,流入・流出量が人造湖では自恭湖に比較してかなり大であるということにある.表面水温の分布は風向によつて大きく左右されるが,それは風による湖流と大きな関係がある.人造湖においては,それに加えて,流入水による水の流れがその水温分布を複雑にする.そこで,水温分布の調査と同時に,湖水中における水の流動を明らかにし,とくに流入水がどのような状態で流入していくかについて,調査した.その結果,流入口付近で,明らかに密度流を形成して流入していくことが認められ,大量の流入水の存在は,貯水池の水温成層の形成にあたつて,上方からの熱の運搬よりも,横方向(流入水による)の熱の運搬を大にすることになる。躍層は2ケ所に認められ,上部のものは主として水温の日変化で生じ,下層の躍層は,ある水温をもつた多量の水が一時に流入することによつて形成されたものと考えられる.湖水中における水の流動は,風による湖流と流入水による湖流が一諸になつて,複雑な流れを示している.
  • 杉本 尚次
    1961 年 34 巻 5 号 p. 279-294
    発行日: 1961/05/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    西日本における民家間取型の分布把握に重点をおき,生活との関連やその伝播径路さらに変化過程といつたダイナミックな面にも留意しつつ民家間取型に表われた地域的特性を明らかにしようとした.
    民家母屋内部の平面構造(間取)は,居住部分のヘヤ割リ,ヘヤの機能(室名,イロリ),土間の機能.(ウマヤ)に分解した.
    (1) 居住部分は全国的に田字型の四間取りが最も普遍的で,その他に東北・北陸の広間型との関連が考えられる広間的間取・妻入型・土間狭小型・二棟造(南九州・南西諸島)・変型(クド造リ・つのや)の6タイプが区分され,その巨視的な分布圏が判明した.
    (2) 同一室名の分布を探ることによつて文化圏や伝播径路を把握することも可能である.本稿では特徴ある2~3例を示す.また名称の変化を通して農村生活の変化過程を考察することも出来る.イロリは山陰から中国山地に卓越するが,大部分の地域では小規模火鉢的機能であり,東北日本ほどの重要性はない.
    (3) ウチマヤは減少の傾向にあるが,分布が牧牛地域と一致し,経済生活を反映した型であること,山間農村では生活機能が母屋の中に集積する特徴がある.
    (4) 間取型の分析による地域性の把握は家屋自身多くの要素の集積されたものであり,本稿では巨視的考察の段階である.
  • 1961 年 34 巻 5 号 p. 294-306_2
    発行日: 1961/05/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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