地理学評論
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35 巻, 11 号
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  • 奈良盆地を中心に阪神巨大都市圏を展望して
    榑松 静江
    1962 年 35 巻 11 号 p. 541-569
    発行日: 1962/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    metropolitanizationの機構と法則にアプローチするために,奈良盆地を中心に,広く阪神巨大都市圏を展望して,「x2検定」と「弁証法」を適用し,つぎの成果をえた.
    1) metropolitanizationは「大衆社会」の活動により,あらゆる地域要素が「構造連関」を行なう過程に,とくに資本と人口が「量質転化」の法則により,地域エネルギーに転化して発生する.
    2) 地域エネルギーは地域を「農業中心体制から商工業中心体制へ」と機能づけるとともに,「中小都市中心体制 から巨大都市支配体制へ」と構造づけてゆく.
    3) 地域機能の分化・分解は経済機能・景観・社会構造の3大地域要素複合の中枢的な「構造連関」により推進され,とくに経済機能は景観と社会構造の媒体をなし,「相互侵透」と「量質転化」の法則により,主導的に分化・分解してゆく.社会構造の分化・分解は3大地域要素複合のうち,最も遅行性を持つている.
    4) 地域構造の再編成は巨大都市核・中小都市・地域細胞の3大地域構造構成単元の中枢的な「構造連関」により推進され,とくに巨大都市核が中小都市と地域細胞群を媒介し,「否定の否定」・「相互侵透」・「量質転化」の法則により,「経済機能地域」の結成ないし「用途地域制」を推進する.
    5) 固有の「経済機能地域」の機能は当該地域の「自然的合理性」と「地域的慣性」および「巨大都市核と当該地域を結ぶ交通経済の合理化段階」の函数である「経済合理性」により,決定される.
    6) 結局, metropolitan communityの地域構造は歴史的な発展段階として,「農業中心体制から商工業中心体制へ」・「中小都市中心体制から巨大都市支配体制へ」と漸移する2大地域体制の座標として決定された4コの機能的・構造的単位地帯からなり,これらは求心的に結集し,機能的な結合体として,協働体制をとつている.
    7) ゆえに,地域計画はmetropolitan communityを計画単位としてとりあげ,当面, 4コの機能的・構造的単位地帯に区分する.さらに地帯ごとに,個々の地域の「自然的合理性」・「地域的慣性」を分析するとともに,「交通経済の最終的な合理化段階」を想定し,これらの函数である「経済合理性」から,個々の発展路線を予測する.かくて個々の地域の開発重点を設定し,合理的な用途地域制の発達を,産業政策や交通政策の面から助成すべきである.
  • 赤木 祥彦
    1962 年 35 巻 11 号 p. 570-586
    発行日: 1962/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    安芸山地に発達しているペディメントについて検討した。結果は次のようである.
    (1) ペディメントは三段にわかれ,その末端の高度はそれぞれ400~460m (高位), 200~400m (中位),約50m (低位)である.
    (2) ペディメント発達の条件として, (1) 粗粒な広島型花商岩の上位に細粒な花崩岩または硬岩層のあること, (2) 本地域全域にわたつて隆起し,しかもそれが間敏的であつたこと,そして河川の平衡をはやめる断層線の存在したことがペディメントを発達しやすくした.しかし現在ペディメントの発達はとまつており,小谷によつて開析されている.このことからペディメントが現在とは異なつた環境で形成されたと考えられる.
    (3) ペディメント背後の急崖は断層崖ではなく侵蝕崖である.
    (4) ペディメントの形成は背後急斜面の平行後退によつた。この平行後退は山塊の消滅のほとんど最後まで続いた.
    (5) ニック・ポイントの開きは岩石の相違により左右され,垂直に近いjointの発達している花崩岩の所では狭く,急傾斜が急に,ペディメントがゆるやかになる.
    (6) ニック・ポイントの位置は基準面の高度とペディメントの縦断面の長さにより決まる.
    (7) これらの三段のペディメントの形成された時期は安芸山地の断層運動より新しく, Würm氷期より古い.そして中位のべディメントは西条湖成層の堆積とほぼ同時期である.
  • 1962 年 35 巻 11 号 p. 587-604_1
    発行日: 1962/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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