海浜堆積物の運搬堆積過程,およびそれにともなう諸性質の変化を明らかにするため,礫の粒径・円磨度・扁平度などの諸性質を主体とした研究を行なつた.
海浜では,波の強さによつて,その到達位置が異なり,その上,それぞれの位置で,寄波や引波が起こるため,粒径や形態による鯖分作用を生じ,同じ地点でも,複雑な分布を示している.しかし,円磨度はこのような傾向はみられず,運搬方向に磨滅が進むことを示し,とくに, 4~2mmのような細礫でも円磨されるのは,海浜では,河川と異なる運搬機構が存在することを示す.
波の磨滅作用は,河川に比べてかなり強いが,中生層の砂岩礫について,円磨度や扁平度にもとずいて推定すると,熊野川河口から,最北端の熊野市までの問で,約20%程度の重量が減少するに過ぎない.このことから,海浜でも,よほど軟かい礫でないかぎり,磨滅作用は礫の大きさを極端に変化させないことがわかつた.しかし, 8mmより大きな礫は,磨滅作用によつて,少しずつ扁平な礫になるようである.
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