地理学評論
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35 巻, 3 号
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  • 松本 豊寿
    1962 年 35 巻 3 号 p. 97-112
    発行日: 1962/03/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    近世城下町は典形的な身分制都市であり特権都市である.前者から士庶居住区分制が問題となり,後者からは都市域の特権的分化が検討されねばらない.
    侍町と町屋は対立する都市域であるとともに経済的には結合せんとする性質をもつ.街村状町屋と団塊状町屋を基本系列とし,これと侍町が結合して最終的には,江戸で代表される4段階と8つのタイプが設定される.これら類型群は同時にまた発達段階をも示すものである.特権都市としての城下町では営業の地域的独占制とそれと関連する同業町の成立が当面の課題となる.とくに特権町人と結ぶ中心街区の町座や株組織の結成は重要で,ここに城下町の中の城下町としての封建的都心が形成される.城下町都心は機能の専門化=同業者集住と機能の複合化=業種の多様性という相反する両面をもち,それをみたすために都心部の膨脹と大型化が促進される.封建的都心には当然のこととして地域差が存在するが,他面城下町自体の大小も問題となる.小城下町では都心と非都心部の地域構造上の断層が著しくなく,それだけ都心の成長と発達はルーズである.
  • 白井 義彦
    1962 年 35 巻 3 号 p. 113-129
    発行日: 1962/03/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    耕地整備のうち,耕地の区画整理を広島県全域にわたつて検討した結果,つぎのような事実が明らかとなつた.
    1) 広島県における整理地の総計は6,203町歩になる.整理事業がもつとも進んだのは,1969年から1916年にかけてであり,地域的には県東半部の溜池地帯に多く,水田農業・地主制・土地条件などと関連して遂行された.主として山間の溜池や出水を用水源とする組合規模50町歩以下の小地域が多く,また耕作条件の不良な山間の侵蝕谷底部の湿田を対象とした場合が多い.
    2) 整理施行地の地理的分布については,農地改革前後で質的な差異がある.地主制下の整理(たとえば庄原盆地)では,旧田の整理とあわせて開田が行なわれ,小作料の引き上げがなされた.農道や土地集団化の技術的な部面も地主的な性格が濃く,:農民の労働生産性については考慮の他にあつた.農地改革後の整理(たとえば西条盆地)では,国庫補助のほかの大部分は耕作者の土地投資であり,土地生産力と労働生産力との両面を考慮した農業経営の合理化への新しい変化が認められる.
    3) 整理が振わない地域のうちには, a) 神:石高原・加計町付近・島嶼部などは地形や土地利用による障害がある. b) 甲山盆地のように水利慣行の強い存在が整理施要を阻害しているところもある. c) 瀬戸内海沿岸の諸都市の郊外では,集約的土地利用が行なわれ,各戸の所有面積や経営面積が零細をきわめ,整理にふみきろうとする共同意志が成立しにくいなどの理由があげられる.
  • 北川 健次
    1962 年 35 巻 3 号 p. 130-148
    発行日: 1962/03/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    都市の内部構造は都心を中心とした同心円構造のほかに,都心とそれ以下のいくつかの副中心とが統一された構造とも考えることができる.これらの都心と副中心を含めた都市内部の中心地区について,各都市ごとに中心地区を設定し,その階層区分を行なつた.対象とした都市は西日本の都市で小・中・大都市をそれぞれ数都市づつ選んた.調査した結果によると都市が大となるにつれ,中心地区の数は増大し機能は高まる.小都市は1・2・3次の3つの階層の中心地区を有し,以下中,大都市となるにつれ階層の数が増していく.また一つの都市の中心地区の発展を辿ることによつて現在時点における中心地区の構造は発展系列における中心地区の構造に置き換えて考察することができる.
  • 1962 年 35 巻 3 号 p. 149-156_2
    発行日: 1962/03/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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