地理学評論
Online ISSN : 2185-1719
Print ISSN : 0016-7444
ISSN-L : 0016-7444
35 巻, 7 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 阪口 豊, 佐藤 達夫
    1962 年 35 巻 7 号 p. 295-309
    発行日: 1962/07/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    大分市東方丹生台地から前期旧石器が発見された.丹生台地には7段の段丘が発達しており,石器の発見されたのは第2段丘(標高60~90m) である.遺物の包含層は第2段丘堆積物最上部の厚さ3m以上の角礫・粘土層で,表層には赤色土が形成されている.北九州に分布する赤色土は古土壌とみなされ,その形成時代は問氷期と思われる.筑紫平野周辺部の赤色土が阿蘇熔結凝灰岩,およびこれに対比される火山噴出物におおわれているので,少くとも,阿蘇カルデラの形成期よりも前で,丹生台地の遺物包含層は少なくとも1回の間氷期を経過したことは確かである.
  • 村上 誠
    1962 年 35 巻 7 号 p. 310-326
    発行日: 1962/07/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    地域格差の是正という問題の一環として,工業地域造成による地域開発という点に焦点を合わせての試論であり,フィールドとして不振の石炭産業や広い低開発地域の開発問題をかかえる九州をとりあげた.具体的には,現在の工業地域の展開とその発展の過程・および最近の集積・拡張から地域のもつ工業立地の要因と経済発展段階を結びつけて,新しい九州の工業地域構造を特色づけ,地域開発における工業開発の問題点と方向を求めることである.その結果次のことが言える.
    (a) 九州の工業は,他の表日本工業ベルトにみられたような綿工業段階を経ないで,いきなり海外依存率の高い軍事資材供給の重工業段階から始まり,また他地帯と較べて,国内一般市場とは隔絶されて発展して来た.この傾向は第二次大戦後「西偏過度」の言葉で置きかえられ,きわめて限られた業種のみ発展して来た.工業地域展開においては,北九州を核とし,西は福岡→八代,東は大分県へ延び,やや離れて孤立的な工業地区として,長崎,延岡があげられる.全般的に工業地域と非工業地域との経済的格差は大きく,特に南北のそれは著しい.
    (b) 最近の工業集積は,一部消費財部門に新しい地域への集積があるが,主要生産財部門では,基本的に石炭との結びつきを基本とすることはそのままであるたあ,既存地域での既存企業の拡張が主であり,従来の地域格差をさらに拡大する傾向を示す,しかし,大分地区に石炭からはなれた工業核が,九州の既存工業の新しい脱皮体として生まれようとしている.
    (c) ただし,大分地区は九州において最も地域的条件の恵まれた地区であり,他地域はそれ以下である.その際に,画一的な基幹工業育成・誘置を目ざす工業地域造成を計画するのは問題である.地域開発による地域格差の是正という前提に立つならば,単に工業のみを考えるのがすべてでないことはもちろんである.
  • 三浦 鉄郎
    1962 年 35 巻 7 号 p. 327-337
    発行日: 1962/07/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    米代川流域の新田集落の成立期を第1期 (1596~1660), 第2期 (1661~1735), 第3期 (1736~1859) に区分し,それぞれの時期の特性を明かにしながら開発の過程を検討した.第1期では,能代平野南部の洪積台地中の侵蝕谷と同平野北部洪積台地の柏毛川の谷に新田集落が成立した.開発上の特性は差紙開(給人開)の形式である.第2期に成立した新田集落は,米代川全流域に散在している.すなわち海岸地方では,砂丘の内側,台地ではその侵蝕谷,また種梅川,藤琴川,長木川,阿仁川などの米代川支流地域では,引水の容易な地点や洪水の難をさけ得られる地点や飲料水の求めやすい地点を選んで立地している.開鑿発の特性は,第1期とは異なり,忠進開が主となつている.第3期は,古い集落が用水路の開墾によつて,荒廃せんとする本田を復興し,さらにその余水をもつて切添新田の開発が行われた.すなわち藩営起返新田の形式をとつている.
  • 1962 年 35 巻 7 号 p. 338-347_1
    発行日: 1962/07/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
feedback
Top