地理学評論
Online ISSN : 2185-1719
Print ISSN : 0016-7444
ISSN-L : 0016-7444
35 巻, 8 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 矢守 一彦
    1962 年35 巻8 号 p. 349-361
    発行日: 1962/08/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    〔目的・資料・方法〕小稿は「世宗実録地理志」・「新増東国輿地勝覧」などを資料として,その記載するところを若干の表に整理しつつ,朝鮮,とくに李朝における城邑の分布と規模との変遷について,イクステンシィブな観察を加えようとしたものである.
    〔観察結果〕 1) 城邑の分布は,いずれの時期においても,南鮮2道,ことにその臨海部と北鮮2道とに集中的であり,小都邑よりは大都邑に発達している.これは邑城築造の主月的が,倭寇および北方民族の侵入を防ぐところにあつたことを示す. 2) 城邑発達の時期は,高麗以後李朝初期までにあつたと思われるが,李朝中期以後においても創築・改築がつづけられ,総数約100~13Oを算えた. 3) 一方,山城の構築は3世紀頃から行なわれたが,少くとも李朝に入つてからは,山城→邑城の改・移築コースを進んだ模様で,さらに防禦の必要を感ずる時期・地域においては,邑城どは別に,山城,あるいはより多くの場合,関墾が設定された. 4) 邑城の規模についてみるに,城周は地方制度上のクラス (これは都邑の戸口規模にほぼ平行する)におおむね相応しているが,城高は平均10メートル程度で,クラスの上下,あるいは地域の特色には関連がうすい. 5) 邑城の築造材料は,時代が下るとともに土築→石築の傾向を強めるが,石築城が古くから発達していた点を,朝鮮城郭史の一特色として指摘しうる.なお,北鮮2道がいささか他道と趣を異にし,満州の囲郭形態の影響圏内にあるのが興味をひく.
  • 石水 照雄
    1962 年35 巻8 号 p. 362-373
    発行日: 1962/08/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    本稿は本邦においてとくに近年多くの関心が注がれている都市化の問題に関してなされた諸研究の成果を整理し,体系化を試みることによつて,この分野における地理学的研究の現段階(水準)を認識し,今後の研究の方向について若干の考察を行なうことを目的とする. (1) 本邦地理学界の都市化に対する関心がとくに高まつたのは戦後であるが,これは戦後における激しい都市化現象の進展に対応している. (2) 都市化概念については,いくつかの見解が披渥されたが,景観に重点をおく狭義の見解と機能に重点をおく広義の見解とに分れている. (3) 都市化のメカニズムに関する理論化に多くの努力が払われてきているが,現段階では都市化現象のecological processの分析を通じて都市化の空間的・地域的機構を求める方向に進んでいる. (4) 本邦における都市化の特質を明らかにするため,京浜・阪神・中京・東北の各地方ならびに本邦全体に関して,都市化の諸段階・近郊地域相互の比較・地域としての特色などについての研究がなされてきている. (5) 今後の都市化研究のあり方については,空間的・地域的観点が強調されecological approachに対する支持が大きく,また社会的貢献のためにも都市化地域理論が要請されている. (6) これらの文献研究を通じて結論されることは,現在の方向に沿うより多くの事例研究の必要性である.
  • 二川ジャージー地域の急傾斜草地
    石原 照敏
    1962 年35 巻8 号 p. 374-392
    発行日: 1962/08/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    日本における山麓草地形成の主要な制約条件を, (1) 立地関係をぬきにした所有関係の制約ではなく,山麓傾斜面の中で,まさに草地形成可能地の集落近接地が所有・利用関係によつて制約されている点と, (2) 耕地と比較して劣等地の山麓における草地形成には,大規模農業的な資本と技術を要するにもかかわらず,日本酪農の小農的・多角的性格がそれに照応しないという点との二点に求め,この仮設的アプローチを二川で実証しようとした.その結果,集落に近接した草地可能地における所有・利用条件の一応の整備,「集約酪農地域」草地造成のモデル・ケースとして,小農資本を補完する公共資本が投下されたこと,以上の事実をもたらした二川営農体制の整備,それらと急傾斜草地にも適したジャージー酪農との結合,などが目本では特異な急傾斜山麓草地を形成した事実を認め,この仮設的アプローチの実証に近づく一つの研究をなし得たと考える.
  • 1962 年35 巻8 号 p. 393-412
    発行日: 1962/08/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
feedback
Top