地理学評論
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36 巻, 5 号
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  • 茂木 昭夫
    1963 年 36 巻 5 号 p. 245-266
    発行日: 1963/05/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    日本の砂浜海岸の沿岸断面測量が,1951年, 1952年の両年にわたつて,水路部により実施された.これらの調査結果から,筆者は目本の砂浜海岸を,主としてその断面形から,数種の海浜型に分類した.そしてこれらの海浜型の日本における分布を明らかにし,この分布と各海岸特性との諸関係より,これらの海浜型の形成条件について考察した.これらの結果を要約すれば次の通りである.
    (1) 日本の砂浜海岸は5種の海浜型に分類される.
    A. 平滑海岸 i. 急斜海岸 ii. 緩斜海岸
    B.棚状海岸
    C. bar海岸 i. 1段bar海岸 ii. 多段bar海岸
    (2) 急斜海岸は日本海沿岸の富山湾東部,太平洋沿岸の駿河湾北部,相模湾北部に発達する.
    (3) 緩斜海岸は北海道の根室海峡,太平洋沿岸の仙台湾,和歌ノ浦海岸及び瀬戸内海沿岸の中津海岸,別府湾岸に発達する.
    (4) 棚状海岸は,海岸に局部的にのみ存在し,平滑海岸とbar海岸の漸移型である事を示す.
    (5) 日本の主要な砂浜はbar海岸である.太平洋東岸及びオホーツク海沿岸の主要な砂浜は,1段bar海岸を示し,日本海沿岸及び太平洋南岸の大部分の砂浜は,多段bar海岸を示す.
    (6) 日本における海浜型の分布は海岸の地理的位置に影響されている.即ち外洋に面する海岸は例外なしにbar海岸を示し,湾や海峡,内海等の内湾性海岸は何れも平滑海岸を示す.
    (7) 海岸及び沿岸海底の勾配もまた,日本における海浜型の分布に関係をもつている.即ち1.0×10-2~3.0×10-2の勾配をもつ海岸はbar海岸を示すが,これよりも勾配が大きくても小さくてもbarを示さず,平滑海岸となる.
    (8) 海岸及び沿岸海底の底質粒径もまた,海浜型の分布に影響する.即ち急斜海岸では例外なしに礫からなり,bar海岸は殆んど砂からなる.そして緩斜海岸は砂からなるが,局部的に泥を堆積する.
    (9) 潮汐の影響は無視することは出来ないが,大潮差25m以下では各種の海浜型が存在し,海浜型の分布に直接影響しない.
    (10) 波高は沿岸州の形成にとつて重要である.平滑海岸においては,平均波高0.6m以下であるが, bar海岸では一般に大きく,0.4~1.5mを示す.
  • 小笠原 節夫
    1963 年 36 巻 5 号 p. 267-279
    発行日: 1963/05/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    鍋田干拓地は伊勢湾奥,木曽川河口左岸にある第二次大戦後の国営干拓地であつて,昭和34年9月伊勢湾台風高潮によつて入植者288人中125人の生命が失われ,かつ家屋,耕地の全面的流失という大被害をうけた.これを契機として集落計画の全面的変更が行われた.
    被災前の集落計画では, (1) 集落は東西方向の幹線道路にそつた路村形態をとり, (2) したがつて集落は干拓地全面にひろがり微高地を利用しようとする意図はなかつた. (3) また家屋も木造,平屋建てであつて,そうじて水害対策を欠く. (4) 1戸当り土地配分面積は1.4haでこれが数筆に分散しており, 1筆面積も区々であつて営農面でも欠陥の多いものであつた.これは干拓地の土地条件の不整一であつたことと,入植が一斉でなく逐次的に行われたことによる.
    被災後の集落再計画が被災前のそれと異なる主な点は, (1) 集落を干拓地北西角の微高地に集中させ, (2) これを第二線堤防で包囲すること, (3) および家屋を鉄筋プロック3階建てとして水害対策に万全を期したことである. (4) 1戸当り土地配分面積は2.Ohaに増加し, (5) 1筆区画 (40a) もより整然となり, (6) 各戸の耕地は3筆が原則として連続するように, (7) さらに入植者の各グループ毎にも,ある程度耕地が集団するように計画されていて営農条件も被災前より整備されている.ただし再計画では住居と耕地は完全に分離することになつた,このような大規模な計画変更が可能であつたのは,被害が大きかつたこと以外に,被災時にはまだ国有地あつたからである.
    最近のわが国における干拓地の集落計画は,集落と耕地の配置から九州型と児島型に類別できるが,鍋田干拓の被災前後のそれは何れも九州型に近い.
    被災後の水害対策を極度に考慮:した鍋田干拓の集落計画は非常に特異なものであるが,他干拓地の集落計画にもつとも参考となるのは家屋の堅牢,高層化の点であろう.水に対して安全というばかりでなく湿気をさける意義もあるからである.
  • 田辺 裕
    1963 年 36 巻 5 号 p. 280-295
    発行日: 1963/05/01
    公開日: 2008/12/24
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    政治地域の形成過程を明確にするために,一例として明治行政村の成立事情を分析した.明治22年の町村合併は,主として国家の側からの財政的,政治的要請に基くものであつた.しかしその中央政府からの圧力に対応する仕方は,各地域において独自なものが見られたはずである.一例として熟田村をみると,その諸部落には,それらを合併に導く条件がそれぞれ固有に備わつていた.そこでまず開拓の過程,領主,用水,入会地等を検討して,合併の基礎的前提を明確にした.さらにこの上に明治以後の諸政策.すなわち大小区制,学区制の施行等が加つて,各部落に合併の態度を決定させる要因が作り出された.この合併は各部落上層の指導的農民の利益に反しない形で行われたものと予想されたが,箱森部落について合併の仕方を具体的に検討した結果,そのことを実証することができた.
  • 1963 年 36 巻 5 号 p. 296-302_1
    発行日: 1963/05/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
  • 1963 年 36 巻 5 号 p. 302
    発行日: 1963年
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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