地理学評論
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37 巻, 11 号
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  • 千葉 徳爾
    1964 年 37 巻 11 号 p. 575-592
    発行日: 1964/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    (1) 野生大形哺乳類ばかりでなく,一般に動物の分布・増減および地区内の棲息許容量などを定める地域的な主因の検討は,その地域がもつ諸条件を明らかにし,また,これを地域の1要素とみなした場合,その人類活動に及ぼす作用を知る上で,地理学上有効な研究と考えられる.しかし,これまで動物学者が行なってきたいわゆる生物地理学的研究は,そのような目的を意図していなかったように思われる.
    (2) 人類の干渉がほとんど及ばない状態での,猪および鹿の,ある地域内での単位棲息許容量を求める目的で,第2次大戦直後まで禁猟であった伊勢神宮宮域林の野獣害防除成績を検討し,その概数として猪は2.5頭/km2, 鹿は4.5頭/km2を得た.
    (3) 人類の活動以外に,日本列島における猪および鹿の広域分布を定める自然的主要因として,(+) 因子としての常緑広葉灌木林の分布,(-) 因子として,最深積雪(より詳しくは,猪および鹿の行動困難な積雪の頻度)があることを明らかにした.
    (4) 今後の問題として,野獣の季節的移動その他に多くの課題があることを指摘した.
  • 松本 豊寿
    1964 年 37 巻 11 号 p. 593-605
    発行日: 1964/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    近世城下町の商圏は,二つの相反する属性をもっている.一つは封建的商圏としての性格であり,他は経済的商圏のそれである.封建的商圏は城下町本位の商圏で,その独占的優越を領主権力によって維持確立しようとする.「商物方限令」は,その法的表現である.しかし, 19 C. に入ると農民的商品経済の発達は,在郷町を基軸とした経済的商圏の要素を強化し.両商圏の対立ど競合がはげしくなる. 19 C. も中葉以降になるとこの傾向はますます激化していくかつての城下町オンリーの単独商圏は,在郷町の局地的商圏との協同,それとの複合商圏を構成することによってのみその発展が保障されるのである.旧方限令の改定や「出店中宿制」はよくこの間の事清を物語ってくれる.かくして城下町中心主義の方限とその商圏は,方限軽視の自由流通の波によって,大きな変質を余儀なくされるのである.それにしても封建体制のつづく限り領主的反動による封建的商圏の再生が執拗に繰り返されるが,その経済主義的立場より非合理性の故に,これは結局,斜陽的主張の哀歌にすぎない.
    版籍奉還と廃藩置県は古い方限制の撤廃を必然化し,純経済的地域分業にもとつく近代都市的商圏へとそれ自体を転化するのである.
  • 関口 武
    1964 年 37 巻 11 号 p. 606-614
    発行日: 1964/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    等値線を引くに当って, 10mm間隔以下の狭い間隔で数字が記入してある場合には,引きにくく時間がかかりすぎ不適当である.しかし問隔が25mm以上になると,引いた等値線に個人差が大きくなり客観性の高いものが得られず不適当である.最適なのは数字が15mm間隔に,市松模様をなして配列している場合か, 20mm間隔で準市松模様に配列している場合である.以上の結論を15枚一組にした種々の数字問隔で数字を記入した図幅に,学生約50名に等値線を記入させ,一枚毎の所要時間数,基準等値線とのくいちがった面積の広狭,その個人差を比較検討した結果求めることができた.
  • 1964 年 37 巻 11 号 p. 615-624_1
    発行日: 1964/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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