1962年3月・5月・7月・10月の4回にわたり,神奈川県二宮海岸において,海岸および接岸海底の地形・堆積物および沿岸流の調査を実施し,季節による地形・堆積物の変化過程を究明した,その結果当海岸では,気象が春の強風期から夏の静穏期を経て秋の台風期へと推移する間に,海岸では侵蝕から夏の堆積過程を経て,再び台風期の侵蝕へと移り,海底では逆に堆積から夏の侵蝕期を経て,再び台風期の堆積へと推移する事を明らかにし,海底には,海岸とは逆のサイクルが存在する事を示唆した.これらの侵蝕・堆積現象を,海岸断面, cusp, 大cusp, 海浜堆積物,海底断面,水深変化,海底堆積物等の個々の要素について,季節の推移に伴う変化過程を考察し,各要素の変化間の相互関連に注目しながら,海岸と海底との間の逆cycleを明らかにした.そしてこれらの現象が,堆積物の海岸と海底との間の循環に帰因するものである事を示唆した.
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