地理学評論

島根県の諸都市における都市圏の構造と地域開発の諸問題

池田善昭

1965 年 38 巻 5 号 p. 287-307
発行日: 1965/05/01
公開日: 2008/12/24

DOIhttps://doi.org/10.4157/grj.38.287

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この研究は島根県内の諸都市について,買廻購買および通勤流動の地域的な中心地としての機能を統計的に調査したものに,それらの都市圏の2, 3の例について,地域開発の点から眺めた経済構造の現地聴取調査を加え,現状の概況を整理したものである.
島根県は,山陽に比べて経済開発のきわめて立ち遅れた山陰の一つとして,いわゆるベルト地帯にみられるコンビナート形成や農業近代化などの,経済の高度成長からとり残された地方である.したがって,都市の成長も都市圏の拡大と並行せず,しかも,各都市の核心地域としての機能も松江市・出雲市などを除いてきわめて弱い。また,核心都市も山陰本線沿線に飛石状に分布し,都市連合は全くみられない.しかも,東部から中部の山間は広島県の経済圏に全く依存し,さらには都市域においても松江市以外は年々多くの人口を県外に流出している.このことは,地域開発計画においてもきわめて深刻な課題となっており,流通革命の進行する中で,経済圏の質的拡大への要求を生んでいる。
松江市周辺では,中海干拓工事が既に着工し,さらに宍道湖岸の旅館団地造成,島根半島のスカイライン計画が既に実施段階に入り,県内への観光客の増大が国立公園への島根半島・隠岐・三瓶山の編入後みられるようになり,県下東部沿岸地域にはようやく開発の効果が姿をあらわそうとしている.また,江川開発構想が三江線完成計画の発表と並列的に話題にのぼりはじめた.これらの問題を,松江市・出雲市・江津市を中心に整理した。

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三重県を除く沿海地域における真珠養殖の展開(概報)

小栗宏

1965 年 38 巻 5 号 p. 308-322
発行日: 1965/05/01
公開日: 2008/12/24

DOIhttps://doi.org/10.4157/grj.38.308

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真珠養殖業は戦後世界的な真珠需要の増大とそれに答えた三重県漁場の密殖状況が他府県への進出を刺戟し,各地の沿岸漁業の衰退がこれを受入れ易くしたことによって,裏日本では石川県以西,(鳥取を除く),裏日本では神奈川県以西(大阪府を除く)全臨海府県に普及した.しかも各地への開拓はすべて三重県の業者の手によるといってよい.しかし新しい漁場での養殖が軌道に乗ってぐると,やがて地元漁民の進出意欲を刺戟し,地域によっては三重業者の対抗勢力となってくる場合も生じた.そのような地域はいわゆる共同体的規制の強い地域や県当局による地元漁保護の強い地域に多い.また養殖の自然条件が暖かい水面に有利であるとはいえ,良質な珠を得ようとする場合には一貫養殖を可能とする水域でも養殖期間を通じて移動することなく定置することが必ずしも有利とは限らない.したがって採苗から浜上げまで各種の段階に分れた漁場が生じ得る。これが技術面の不熟練と事業の投機性に勇気をもち得ず,伝統漁業に執着する地元民の進出をにぶらせていることも否めない.経営形態にもこれが影響して,三重業者が独占している地域も生じた。また地元業者の進出する場合は危険負担能力のある資力をもつ者がまず進出する場合が多いが,零細業者がまず進出している地域もあり,この場合は漁協自営や共同経営の形のとられているものが多い.

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北太平洋を囲む主要気候域の経年変動

福井英一郎

1965 年 38 巻 5 号 p. 323-342
発行日: 1965/05/01
公開日: 2008/12/24

DOIhttps://doi.org/10.4157/grj.38.323

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従来気候変化の研究は各要素ごとに分け,主として気温と降水量について別箇に考察されて来たが,ここではこれら全体を総合したものの変化として考えようとするものであり,結局気候区や気候域の移動や変動として表現される.このたあに,前にRUSSELが提唱した年候(year climate)の方法を用い,北太平洋を囲んだ各地点について,各年ごとにケッペンの気候型を求め,その出現頻度やこれによる特性を明らかにし,古典気候学と近代気候学の関係に及ぶ.次に気便型がほぼ一定し,変化の少ない安定地域と,多種類の気候型の出現によって特長づけられる不安定地域とを区別し,それぞれの分布を明らかにして,一部の原因的考察を行ない,さらに気候型の経年的移動に見られる二,三の特性について述べる.なおこの研究は,1961年に東亜だけについて行なったことがあるが***,本稿においてはその対象地域や考察の方法などをさらに拡大し,一部は別箇の報文として分割することにした.

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信州南北安曇,東筑摩3郡にわたる積雪量の準小気候学的観測調査

佐々倉航三

1965 年 38 巻 5 号 p. 343-349
発行日: 1965/05/01
公開日: 2008/12/24

DOIhttps://doi.org/10.4157/grj.38.343

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標題に記した地方において,昭和21年から同22年にかけての冬季に実施した準小気候学的観測による積雪量分布の調査を報告したものである.すでに20年近くも以前のものではあるが,この程度の広さをもつ地域において,かつこの程度の観測網密度で観測された積雪量分布の調査は今日といえども実例が少くないように思う.

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書評等

1965 年 38 巻 5 号 p. 350-358_1
発行日: 1965/05/01
公開日: 2008/12/24

DOIhttps://doi.org/10.4157/grj.38.350

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正誤表

1965 年 38 巻 5 号 p. 358
発行日: 1965年
公開日: 2008/12/24

DOIhttps://doi.org/10.4157/grj.38.5_358

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