地理学評論
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39 巻, 7 号
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  • 茂木 昭夫
    1966 年 39 巻 7 号 p. 451-462
    発行日: 1966/07/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    二宮海岸の数回の沿岸調査結果に基づいて,海岸と海底との間の堆積物循環の機構について考察した. (1) 海底侵蝕は大cusp前面の海底にのみ生じたが,ここは大cuspの延長に当って幾分高くなっており,周囲より細かいmd 2.0φ以下の細砂からなっている.波はこの部分で収束し,波高を増大して侵蝕力を増すだけでなく, 2.0φ以下の細粒底質がsettling velocityが小さい為,浮游したまま容易に運搬し去られ,とくにこの部分に侵蝕が生じたと解釈した.細粒底質をとくに除去する結果,残留底質は侵蝕後一般に粗粒になっている.
    (2) 沿岸流は大cuspと対象的に蛇行している.この事は海岸に直角方向の流れがあって沿岸流を海岸に近づけたり遠ざけたりしていると解釈される.この観点から向岸流・離岸流の位置を推定すると,何れも大cusp付近に存在する事が知られた.
    (3) 海底堆積は海岸の侵蝕される台風期・強風期に生じた.海岸からの排出土砂は大cuspの海方延長に堆積し,距岸100m以遠ではmd 2.0φ以下の細粒域を形成した.この事は大cuspの移動に伴ってこの細粒域も移動しており,海岸が侵蝕された所にのみ現われるという事実によって明らかにされた.
    (4) beachcycle及び海底cycleは, md 2.0φ以下の細粒部分が海岸と海底との間を循環する事によって生ずる現象であり,大cuspおよびここを流れる離岸流・向岸流は,その運搬径路および営力であると言う事が出来る.
  • 内藤 博夫
    1966 年 39 巻 7 号 p. 463-484
    発行日: 1966/07/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    秋田県北部の米代川流域(花輪盆地~能代平野)に分布する第四紀の火山砕屑物の層序は露頭での上下関係,鉱物組成(とくに角閃石の有無),岩相などによって下から次のように区分される. (1) 長土路凝灰岩層, (2) 小坂軽石質火山灰層, (3) 小ケ田石質火山灰層, (4) 高市軽石質火山灰層, (5) 鳥越軽石質火山灰層, (6) 申ヶ野軽石質火山灰層, (7) 大湯軽石質火山礫層, (8) 毛馬内軽石質火山灰層. (7) は降下火砕堆積物, (1)(4)(5) は火砕流堆積物である.他は層相から火砕流堆積物と思われるが,確証を欠く.相馬の十和田湖での調査結果と比較すると, (7) (8) は十和田火山の第2期(中ノ海火山)の, (6) から下は第1期(十和田カルデラ以前)あるいはそれより古い堆積物と思われる.
    これらの火山砕屑物とその二次堆積物の多くは段丘地形と密接なつながりをもっており,なかでも高市,鳥越,毛馬内軽石質火山灰層はその堆積面を段丘面として残している.鳥越軽石質火山灰層は花輪,大館両盆地において盆地内の起伏を埋めて堆積面を最も広く残しているが,その高度分布を見ると,両盆地内とも中央部で低く縁辺部に高くなり,沖積地とほぼ一様な比高を保っている.したがって堆積面の高さは噴出口から離れるほど低くなるとはかぎらず,原地形にかなり強く支配されているといえる.
    鳥越,高市両軽石質火山灰層は鷹巣盆地において既存の段丘面を薄くほぼ一様な厚さで覆っているが,山蔭のようなところでは認めていない,火砕流として流下した際には,堆積物よりはるかに密度の小さい状態で雲のようにある高さまで覆って流れたためそのような分布を示すものと思われる.
  • 杉村 暢二
    1966 年 39 巻 7 号 p. 485-497
    発行日: 1966/07/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    ブロック毎の通りの地価を示す路線価格は,一部の都市を除くと,都市地域の地価分布の特色を示し,都市の地域構造の比較研究に有用な指標である.ここでは, CBD (業務中心地区)をとりあげ,路線価格によって,主要都市におけるCBDの面積と, CBDを限る最低地価と最高地価との開き(差)を求め,この双方の指標からCBDの類型を規定した.この規定による11のCBDのタイプは, CBDの構造を表わす配置・規模・機能に影響される.
  • イラン国カズビン盆地の例
    森谷 虎彦
    1966 年 39 巻 7 号 p. 498-504
    発行日: 1966/07/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    カナートはイランを中心とするイスラム世界に広く普及した地下水取得の技術である.筆者はイラン国北部,エルブールズ山脈南麓のカズビン盆地におけるカナートの調査を行ない,3km以下の比較的短いものが大半を占め水量も少なく,その経済効果の少ない点からあまり将来性のない事を知った.
  • 1966 年 39 巻 7 号 p. 505-519_2
    発行日: 1966/07/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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