地理学評論
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39 巻, 9 号
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  • 鳥居 栄一郎
    1966 年 39 巻 9 号 p. 577-590
    発行日: 1966/09/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    十勝川下流域には6段の段丘のほか,1段の埋積段丘及び埋積谷の存在が,電気探査及び試錐で確められた.段丘は形成順にI, II, III, IV, V, 埋積段丘, VI段丘と呼ぶ.一般に全段丘を通じて古い段丘ほど,増傾斜している,第5段丘より高位の段丘は洪積火山灰で覆われているが,第6段丘は覆われていない.第5段丘はその堆積層から恐らく襟裳火山灰(洪積火山灰)降下時期と前後して形成されたものであり,第6段丘は沖積段丘と考えられる.埋積段丘については確認出来なかったが,その形成時期は第5段丘の直後であろう.埋積谷は深度-60mに達し,十数mの基底礫層を有している.第4段丘堆積層からこの基底礫層までは,安山岩の礫の比率が第3段丘堆積層以前に比べ急激に増加している.従って,第3段丘形成後,第4段丘形成前から,十勝川上流域の新規火山の生成が盛んになったものと推定できる.
  • 村山 磐
    1966 年 39 巻 9 号 p. 591-605
    発行日: 1966/09/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    蔵王火山およびその周辺の土壌母材を構成している火山灰を大別すると,褐色火山灰(土色はおもに10 YR 4/6) と黒色火山灰(土色はおもに 10 YR 2/2)とになる,褐色火山灰は火山およびその周辺に広く分布しているが,黒色火山灰は局地的分布をなし,火口湖「御釜」を中心として半円弧を描くように,東麓の七日原以北から川崎町,さらに北麓方面笹谷峠付近まで分布し,褐色火山灰をおおっているが,中には褐色火山灰層中に夾層となっている地域もある,
    黒色火山灰の土色は,紫蘇輝石・普通輝石・磁鉄鉱・黒色ガラスなどに由来するもので,腐植によるものではない,また斜長石を多く含み,このためCa分に富み,土壌酸性度ば中性に近い(おおむねpH 6,0以上).無施肥料下における黒色火山灰地区の植物成長は,褐色火山灰地区のものに比し割合に良好である,
    一般に日本の火山灰は,風化・溶脱の進捗が早くせき薄といわれているが,この黒色火山灰は,おもに有史以後の火山活動の結果,噴出堆積した比較的新しい火山灰であり溶脱があまり進んでいない,黒色火山灰は,長期間に鉱物中の成分が溶脱され,更に鉄分の酸化とともに,褐色火山灰に移行するものと考えられる.
    風化・溶脱の進捗程度は,火山灰粒径の大小および外界因子としての降水量・気温・また火山灰の降灰年代などと密接な関係があるため,地域によって差異を生ずる.気温高く降水量多い地域では風化・溶脱の進捗が早く,これに反する地域では遅いものと推定される.
  • 平野 昌繁
    1966 年 39 巻 9 号 p. 606-617
    発行日: 1966/09/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    斜面発達とくに断層崖発達に関する数学的モデルを論じた時には,斜面発達の数学的モデル化の大綱をのべるにとどまったから,ここでは数学的モデルにおける侵蝕係数の比,有限山体のモデル化,特別な境界条件の例,先行性河谷の例,斜面形の分類などについて, 2次元化された抽象的な斜面としてとりあつかう.この立場では,斜面は対称斜面と非対称斜面に2分され,後者はさらに凸型斜面と凹型斜面,不規則斜面に細分される.これらは何れも衝撃的隆起のあとにあらわれる斜面形であるが,そうでない場合にはことなった斜面形があらわれる.
  • 松沢 光雄
    1966 年 39 巻 9 号 p. 618-624
    発行日: 1966/09/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    (1) 渋谷繁華街を繁華街核心域(中心回遊路・回遊路内包域),回遊路外接域,周縁域の3地域に区分する. (2) 副都心を形成する新宿・渋谷・池袋の繁華街の構造上の共通点から,副都心構造の類型を導きだすことを試みた・しかし,副都心とよぼれる繁華街は,その数が少なく9特殊的事象と類型的事象との区別が困難である場合が多い.また,これら繁華街の構造および規模は,時代の経済事情に影響され装身具の流行(毛皮店)や,遊戯内容の変化等(トルコ風呂,スーパーマーケット,つり堀,レーシングカーなどの消長)の条件に反応すると思われる点もあって,固定的解釈をもつことは困難である.しかし,出来る限り,類型性をもつものを整理するようつとめた. (3) 繁華街構造の研究は,人間の快楽的要求と集落構造との関係の研究に外ならず,従って,心理学的立場からの考察が必要であるが,本論ではその面にはふれなかった.
  • 1966 年 39 巻 9 号 p. 625-634_2
    発行日: 1966/09/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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