機械工業の地域的展開の法則を明らかにするために,母なる機械として機械生産上重要な位置を占めている工作機械生産を対象とし,生産地:域の性格を明らかにするとともに,その全国的な地域体系を機能的に分析した.
わが国工作機械生産の60%は三大工業地域であげられ中心産地を形造っているが,他は全国各地に小集団を形成している.京浜などの中心産地と地方産地の間には製品構成,形成,兼業形態,流通形態などからみて明瞭な性格上のちがいがみられる.
東京城南部を中心に機能的に結ぼれた京浜の顕著な特色はとくにメカニカルな製品を中心に生産品目が多彩なことである.このような性格の生産が京浜に集中したのは,長い間の官民技術の集積により,まず高い企画,開発能力をもつことであり,第2に多層な工場群の存在が高級製品の生産を可能にしているためであり,これは「中央的性格」と規定することができる.全国産地はこの中央的性格の強弱によって特色づけることができ,全国産地は京浜に主導され,京浜を中心とした機能的体系が存在している.
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