降雨による:地面の冷却が,ほかの熱収支項(正味放射量,潜熱伝達量,顕熱伝達量および地中伝達量)にくらべてどのくらいのオーダーかを確かめ,かつ降雨時の熱収支を,他の天候すなわち晴天時,曇天時,降雨直後の各場合の熱収支と比較した.
降雨時の熱収支式としては,従来のものに雨水による「冷却」量の項P=
cp.
r. Δθ(
cpは水の比熱と密度,
rは降雨量,
Δθは,地表面と雨水の温度差)を加えた形を採用した.
計算の結果,降雨時はほかの天候時にくらべ潜熱伝達量が特に大きく,逆に顕熱伝達量と地中熱伝達量が小さくなる.「冷却」量は,正味放射量にくらべればその数%~10数%にすぎないが,地中熱伝達量の40~50%とかなり大きい比重を占めることがわかった.
次に,永年気候値での降水量プと温度差
Δθとの関係を調べ「冷却」効果の季節変動や地域差の有無を検討した.気候値でみる限り
Δθは気温にほぼ比例するので,冷却効果は高温多雨の季節および地域で大になることが認められた.しかし
rと
Δθが逆比例に近い関係にあるため地域差は比較的小さいことがわかった.
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