地理学評論
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42 巻, 4 号
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  • 田辺 裕
    1969 年 42 巻 4 号 p. 233-247
    発行日: 1969/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    世界における地理学の最も重要な潮流のひとつとしてフランス人文地理学派が注目されて久しいが,彼等がいかにして新らしい地理学者を育てているのかを知る方法のひとつとしてその大学における地理学教育を詳細に見ていく必要を強く感じていたので,筆者は2年間のフランス滞在中に,主任教授から学部の1年生までのあらゆる階層の学生に面接し,討論して,この稿をまとめた.私はフランスにおける地理学教育の欠陥をいくつか指摘したが,折しも,この論文の脱稿後,例の5~6月の大学改革運動の討論の中で,これらがフランス人自身も感じているところであったのを知って興味深かった.一方,地理学の本質であると言われる「地誌」が研究対象としても試験や講義の上でも事実上消えかかっている日本の状況が果して正常なのかと言う疑問を与えられることになったのは,筆者として,収穫であると思う.
  • 肥田 登
    1969 年 42 巻 4 号 p. 248-265
    発行日: 1969/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    わが国の工業用水源のうち,回収水を除くと,地下水の占める割合は42% (1962年)と最も高い.とりわけ静岡県岳南地域は,工業用水源の80% (1965年)を地下水に依存しており,地下水の工業的な利用に関してわが国で最も典型的な地域である.本論では,岳南地域における地下水の工業的な利用の実態を具体的に考察し,その特徴を把握することに努めた.
    考察の結果から,岳南地域における地下水利用の進展過程は,工業用井戸の増加とそれに伴う水利形態の変化とから,3期に分けられることが明らかになった.各段階の時期と特徴は次のようである.第1期は1949年以前で,地下水の自由な揚水可能期であり,第2期は1950~1960年で地下水が局地的に澗渇した期間であるが,なお自由な揚水可能期で,第3期は1961年以降で,地下水利用の混乱期である.
    ことに第3期の具体的な特徴は,地下水資源の全域にわたる澗渇,廃止井戸の発生,構外井戸の新設という一連の現象と,この現象を媒介として生じた地下水コストの上昇とである.地下水資源が澗渇したことに直接起因しているこの悪循環は,開発の可能性が限界に達していることを意味している.
    岳南地域にこのような現象をもたらした原因は,地下水には水利権が認められていないことと,しかもその豊富な賦存量とを条件として,用水型工業であるパルプ紙製造工業が無原則的に地下水資源に指向して集中したためである.
  • 平野 昌繁
    1969 年 42 巻 4 号 p. 266-278
    発行日: 1969/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    生駒山地西面の開析谷について,面積高度分析を中心とする地形計測を試みた.流域の開析度を表現するには,いわゆるhypsometric integralよりは,等高線平均間隔を積算して得られる平均的斜面形の方が適切である.平均的斜面形は標準偏差σ,平均値μであるような正規分布の積算曲線で近似できる.開析度を与えるσとμの大小は,少なくとも本地域では開析谷の流域面積の大小を強く反映していると考えられる.
  • 1969 年 42 巻 4 号 p. 279-293_3
    発行日: 1969/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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