地理学評論
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44 巻, 12 号
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  • 金崎 肇, 北林 吉弘, 古川 春夫, 須山 盛彰
    1971 年 44 巻 12 号 p. 803-827
    発行日: 1971/12/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    昭和45年産米に対する生産調整は一律10% という形で各府県に割当てられたが,全国的にみた場合は139% という目標以上の達成率となった.然し府県別にみた時には最低の52% から最高300% 余とかなり大きい差異が現れた.
    わが国の代表的米作地帯として知られる北陸地方に於ては新潟県のみ78% と低い達成率であったのに対し,他の3県はほぼ全国並みの130% 前後という達成率となったが,この差異は一体何によるのであろうか.
    われわれは福井県を除く3県を対象として分析を試みたのであるが,市町村別の集計段階で若干ミクロにみる時はかなり色々のケースが存在する.
    特徴ある地域については更に部落別の調査を行い,事例研究として精細な分析を行ったが,要するに,この様な調整政策は地域性を充分考慮した上で行わねぽならぬことが解明出来たのである.
  • 高木 秀樹
    1971 年 44 巻 12 号 p. 828-838
    発行日: 1971/12/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    メキシコはカトリックの国である.特にメキシコ高原の村の生活は,この宗教的行事によって支えられている.ここに村を中心とした生活関心圏を考察する時,「ハレ」の重要性がある.またここに村と町の結びつきの本質的紐帯が潜在しているのである.経済圏・享楽圏・通学圏は,みかけ上のキヅナであり.これらのバックボーンとなる両者の関係を究明する.対象地域として,メキシコ中央高原の一農村で,両隣りに地方中心都市の位置するテペオフーマをえらんだ.村の一年の生活のリズムは,カトリック行事であり,各週の生活は,ミサによって始まる.しかし村は単一耕作で,主食のとうもろこしの灌概面積は少なく,その生産は不安定である.さらに死亡数はきわめて変動し,婦人の子供数は多く,親の老齢にともない扶養が十分できない.しかも女主人が多くたえず生活の不安定・不安がつきまとう.こうしてこの村には,代親制が強く伝承されている.町の有力者を名付け親とし,その子供が結婚して一人前になるまで,おもに「ハレ」の行事に援助するスポンサーである.この制度はもちろん町にもみられるが,単なる宗教的儀i礼にすぎない.この擬父子的関係は,ハレに際しては,完全に親として役割りを演じ,ケの日常にあっては,その子の寄り所として存在している.この村では,上流域の整然としたA町よりも,下流域の雑然としたM町に,その代親の指向性をみる.この町が,平常着の町であるためである.こうして村は, M町に依存して安定化をはかり, M町の有力者は,この村を隷属化しているのである.ここにメキシコ中央高原農村の町への生活関心の本質をみるのである.
  • 上杉 陽
    1971 年 44 巻 12 号 p. 839-857
    発行日: 1971/12/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    筆者は,ふるいを用いて海浜の砂質堆積物の粒径頻度分布を求め,これをもとに古期の堆積物にも適用可能な風成・海成の環境区分図を作成したが,それに先だち,分析方法自体の検討を行なった.ふるいの振盈時間・試料重量等の分析方法の検討を行なった後,平均値・淘汰度・歪度を近似計算,正式計算で求め,それぞれの誤差の最大巾を求め,さらに近似計算の有効度,粒度間隔の大小による影響について論じた.
  • 新井 鎮久
    1971 年 44 巻 12 号 p. 858-874
    発行日: 1971/12/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    埼玉県の開拓地には,生産的な意味での等質地域の性格が強く存在していた.この性格は,画一的な開拓行政によって支えられてきたものである.
    その後,農産物需要構造の変化と,都市化の進展は,土地利用方式の変更と農業生産要素の流出を通して,開拓地(農業)の等質性を大きく変えていった.
    土地利用では,かつての陸稲,麦,雑穀の栽=培は,より一層労働節約的な粗放畑作経営と,技術的にも高度な集約経営とに分化している.経営類型も,今日では驚くほどの多様化と,地域的な特化傾向を示している.しかし,すぐれた土地基盤条件の存在にもかかわらず,大型農業機械の利用による生産活動の組織化は,殆んど成立していない.
    開拓地の土地割と土地所有は,ミクロには大型圃場の集中所有として,また,マクロには整えられた区画形態と,空間的に限定された所有関係として把握される.これらは,開拓地において,多面積の一括取得を必要とする者に対し,これを容易にする条件となる.
    上記の特徴をふまえて,開拓地の都市化・工業化の動向を見ると,不振開拓地における,工業団地造成を中心として,多分に行政ペースで進行していることが指摘できる.また,都市化の間接的影響としての農地移動では,経営交替入植や転居を前提とした多面積の一括取得を検出することができる.いずれも,開拓地特有の土地割と土地所有形態が,都市化に及ぼす機能を象徴する姿である.
  • 林 上
    1971 年 44 巻 12 号 p. 875-877
    発行日: 1971/12/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    冒頭で述べたように,濃尾地震直後における小藤文次郎の調査により本巣町金原地区において, 7.2mに及ぶ水平変位のあったことが報告されているが,筆者はこのたび根尾村中地区における同地震にともなう断層運動の水平変位を調査した.その結果,上述した地籍図と実測図との間における各境界線および道路の食違い量を水平変位量の近似値と考え, 7.4mの値を得た.この値は小藤の値とほぼ同じであるが,このように大きな水平変位が単に金原地区だけにあったにとどまらず,それより12kmも北西に位置する当地区においても発生していたことなどからみて,根尾谷断層は濃尾地震時の断層運動においても,広範囲にわたって「横ずれ断層」(水平成分⟩垂直成分)の性格をもっていることが裏付けられたといえよう.
  • 1971 年 44 巻 12 号 p. 878-898,1_2
    発行日: 1971/12/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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