海岸砂丘の地形発達・地域的特色・風成砂堆積期の環境・砂丘地形を解明するため,薩南諸島北部の種子島の海岸砂丘をとりあげた.
1) 風成砂層は, 7層に区分される.それは,現成のH
4砂,固定されたH
3砂,黒色腐植層下のH
2砂,第1軽石下のH
1砂,第1粘土質火山灰下のD
3砂,第H粘土質火山灰下のD
2砂,第III軽石下のD
1砂である.
2) D
1砂は中位面形成後, D
2砂は下位面1形成後, D
3砂は下位面H形成後,いずれも相対的な海面低下の途中で堆積した.
3) H
1砂は沖積世海進期から縄文前期までの間は, H
2砂は弥生後期までに, H
3砂は植生で固定されるまで,それぞれ堆積した.
H
4砂は堆積中である.
4) 各砂層は,いずれも西海岸に分布が卓越する. H
4, H
3砂の分布が現在の風向・風力の傾向と関連が大きく,風成砂の分布から,風成砂堆積期の環境解明の手がかりが得られる.
5) 砂丘は, (1)横列砂丘, (2)縦列砂丘, (3)ドーム・砂丘, (4)U字型砂丘に分類される. (2), (3), (4)は西海岸に分布が卓越する.
抄録全体を表示