地理学評論
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44 巻, 10 号
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  • 竹内 常行
    1971 年 44 巻 10 号 p. 665-684
    発行日: 1971/10/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    桃園台地は溜池の密に分布している地域として有名である.日本領時代に日本の食糧自給政策の一環として,且つ原始的な溜池に依存していたこの地域を,旱害から救うために, 1916~28年の間に桃園大堀(桃園大水用)を,淡水河から開さくした.淡水河の下流に古い水田が広く存在していたので,この用水の開さくに強い反対が起った.それ故に古い溜池を整理して,近代的の溜池に改修したものを244箇残して,大洲と溜池で灌概を改良した.戦後台湾の人口が急増したために,緊急食糧増産の要請が強くなり,輪流灌概方式を普及させて,用水の節約を計って,光復堀の建設などが行なわれた.他方残された台地高位部の水利改良のために,淡水河の谷に多目的の石門水庫を作り,これより石門大珊を開さくして水利改良を行なっている.その他,退役軍人の救済のために初められた,溜池の養殖業や,工業化の問題にも論及する.
  • 都市研究へのアナログ・メソド適用をめぐって
    岡田 真
    1971 年 44 巻 10 号 p. 685-696
    発行日: 1971/10/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    アナログ・メソドは,庄田正宏氏その他の若手研究者によって,すでに実用に供されている.しかしこの方法は, Chorley自身が指摘しているように, “noise” の介入をまねきやすい.
    たまたま,古典的ヒューマン・エコロジーの立場から展開された都市研究は,きわめて素朴ながら,すでにアナログ・メソドを採用している.彼らはアナログ・メソドを用いることによって,資本主義的巨大都市という,当時としてはいかに処理すれぽいいかも分からなかったほどの,複雑なしかも新らしく出現した研究対象に,立ちむかったのであった.彼らのアナログ・メソドの採用は,巨大都市を概略において把握することを可能にしながらも,彼らの議論に “noise” を導きいれてしまっている.
    本稿は,若手地理学者がアナログ・メソドを採用するための“アナログ”を提供すべく,草されたものである.
  • 成瀬 敏郎
    1971 年 44 巻 10 号 p. 697-706
    発行日: 1971/10/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    海岸砂丘の地形発達・地域的特色・風成砂堆積期の環境・砂丘地形を解明するため,薩南諸島北部の種子島の海岸砂丘をとりあげた.
    1) 風成砂層は, 7層に区分される.それは,現成のH4砂,固定されたH3砂,黒色腐植層下のH2砂,第1軽石下のH1砂,第1粘土質火山灰下のD3砂,第H粘土質火山灰下のD2砂,第III軽石下のD1砂である.
    2) D1砂は中位面形成後, D2砂は下位面1形成後, D3砂は下位面H形成後,いずれも相対的な海面低下の途中で堆積した.
    3) H1砂は沖積世海進期から縄文前期までの間は, H2砂は弥生後期までに, H3砂は植生で固定されるまで,それぞれ堆積した.
    H4砂は堆積中である.
    4) 各砂層は,いずれも西海岸に分布が卓越する. H4, H3砂の分布が現在の風向・風力の傾向と関連が大きく,風成砂の分布から,風成砂堆積期の環境解明の手がかりが得られる.
    5) 砂丘は, (1)横列砂丘, (2)縦列砂丘, (3)ドーム・砂丘, (4)U字型砂丘に分類される. (2), (3), (4)は西海岸に分布が卓越する.
  • 千田 稔
    1971 年 44 巻 10 号 p. 707-722
    発行日: 1971/10/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    イネ作農業がどのような景観の中で発生し,受容されたかという問題は原景観研究あるいは景観発生論と呼ぼれるべきである.わが国の弥生時代の気候は従来から気候変化の研究により指摘されるようにやや冷涼なものであるとしても東海地方ではク琴ノキが生育し,奈良盆地ではイヌマキがみられたのであるから気温の低下を過大に見積るべきではないと考える.しかし奈良盆地における筆者の試錐において,泥炭質粘土層が弥生式土器包含層と一致する事例が観察され,当時における冷涼気候は否定されるべきでないと考える.奈良盆地における弥生式遺跡の泥炭質粘土などから得られた試料を用いた花粉分析からは次のような結果がもたらされた. AP (樹木花粉)ではQuercusあるいはPinusが優占し,さらにCryptomcriaも高率を占めている.灌木類のViburnumも高い頻度で出現する. NAP (非樹木花粉)ではGramineae (イネ科)やCompositaeが優占している.
  • 1971 年 44 巻 10 号 p. 723-728_2
    発行日: 1971/10/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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