地理学評論
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44 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 上野 福男
    1971 年44 巻4 号 p. 231-233
    発行日: 1971/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
  • 農業地理研究委員会中間報告
    白浜 兵三
    1971 年44 巻4 号 p. 234-240
    発行日: 1971/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    農業地理研究委員会は,これまで1968年10月に鳥取, 69年4月に東京,同年10月に仙台,70年10月に奈良においてそれぞれ全体集会を開き,発足当初の話合いに基づいて,既往成果の集約といった作業に取り組んできた. 70年4月の東京での学会では,農業地理シンポジウムが「農業地理学の性格と課題」をテーマとしてもたれた.前述の全体集会での発表内容は,奈良でのものを除き,本誌 42, 3, 42, 9, 43, 2の各巻号に逐次概報され,シンポジウムについては3人の発表のうち1人の分が43, 7に掲載された.このシンポジウムで,筆者は研究委員会活動についての経過報告を試み,全体集会での発表内容を中心に述べた。今回農業地理学に関する論文が特集されるに当って,関連報告を加えることになったので,前回の発表を骨子として,これまで報告された全体集会ならびにシンポジウムの諸発表を紹介しながら,筆者個人の立場から若干のコメントを行なうことにする.
  • 松井 貞雄
    1971 年44 巻4 号 p. 241-253
    発行日: 1971/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    経済の高度成長下で日本の農業は階層分化して,地域的には産地規模が拡大し特産地化しつつある.この傾向を,温室園芸の側面から考察した。全国の温室面積のうち愛知・岡山・静岡の3県に61.7%が集積し,栽培作物はメロン・ブドウ・電照菊・カーネーションなどが特産地となっていて地域的個性が著しいが,加えて近年の温室園芸の伸びに対する大型産地の増加寄与率は著しく高く,日本の温室園芸は既成産地に特化している.調査地域を愛知県の花き温室園芸にとれぽ,温室農家の戸数増加よりは個別農家の規模拡大を主体として産地は大型化したが,大型産地である渥美電照菊温室園芸地域では共同出荷や温室の団地化など,地域ぐるみの対応として生産の組織化が進んでいる.これに対し,比較的需要が少なかった知多観葉植物温室園芸地域では,高級生花の大衆消費化を背景に少種類量産体制に変化して規模を拡大してきたが,栽培農家の散在的性格から生産の地:域的組織化はおくれている.
  • 一宮町平野部の地域的特色と実態
    赤川 泰司
    1971 年44 巻4 号 p. 254-270
    発行日: 1971/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    千葉県は,西は大都市東京に,北は鹿島工業地帯に隣接し,またみずからも京葉工業地帯のなかにあり,工業化を中心とする経済発展の動きの中で,農業の変動が激しく行なわれている.
    九十九里浜平野における施設園芸は,その温暖な気候とめぐまれた土質などの自然的条件や,農業技術の進歩と相まって,千葉県の経済発展のその動きの中で形成されてきた.その実際を概観すると,平野は北部・中部・南部の三地域に区分でき,それぞれの形成過程には大きな差異がある.
    筆者は,伝統の歴史のうえに,国や地方公共団体の事業や公共投資による大規模な農政施策が,計画的に農業の地域構造を変革せしめることを想定して,九十九里南部一宮町における施設園芸を事例としてとりあげ,その実態を明らかにした.トマトとキュウリの1年2作を栽培形態とする一宮町平野部の施設園芸は,第1次農業構造改善事業によって施設園芸主産地形成(集約的農業地域形成)が進められ,第2次計画によってさらに充実した生産地になることが予想される.
  • 斎藤 功
    1971 年44 巻4 号 p. 271-283
    発行日: 1971/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    1. 酪農と乳業会社によって構成されるアグリ・ビジネスとしての牛乳産業にarealfunctionalorgani-zationの考え方を適用して東京集乳圏を画定した.飲用牛乳は酪農家→部落集乳所→クーラー・ステーション→東京市乳工場へと流れ,それぞれの中枢的機関が下位の機能単位を包摂して集乳圏を構成した.東京市乳工場はいくつかのクーラー・ステーションの第2次集乳圏を包摂して第3次集乳圏を構成し,1乳業会社は各市乳工場を統括して第4次集乳圏を構城する.東京集乳圏は企業群によって構成される第5次集乳圏であることが,あきらかになった.
    2. 集乳機構の地域差にもとついて機能的酪農地域を3つに区分した.その結果,東京集乳圏における酪農地域は同心円構造を示すことが明確になった.第1地域は酪農家から直接市乳工場に牛乳を持込む範囲で,多くの東京市乳工場と専業酪農家が存在し,近郊酪農が行なわれている.第H地域は酪農家がクーラー・ステーションに牛乳を持込む地域で,多くのクーラー・ステーションと多頭育酪農家が存在する.第皿地域は酪農家→部落集乳所→クーラー・ステーション→東京市乳工場の牛乳輸送を示し,最大の牛乳生産地域である.
  • 広島広域都市圏を中心として
    白井 義彦
    1971 年44 巻4 号 p. 284-300
    発行日: 1971/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    都市圏の全体的開発を達成しようとする場合,歴史的遺産として規定されている農業用水の存在を無視することはできない.今日,都市化による新しい水利用が農業水利と交渉して,根づよい反発におどろかされるのは,それが単に技術的調整の問題にとどまるものでなく,複雑な社会・経済的性質をおびるからである.本報告は,このような観点から,研究対象地域を広島市郊外の太田川水系八木用水(祇園町以外二ケ町土地改良区)と江の川水系下土師ダム下流農業用水(八千代町・吉田町)の受益地域をとり,農業用水が都市化の影響によって,どのようにきわだった特色をもって変化しているかを研究したものである.現地調査のうえ考察した結果,次のようなことがわかった.
    都市化の進行が著しい地域にある八木用水の農業用水機能をみると,まず農業用水以外の水利用との接触,交渉にはじまり,用水路ヘ工作物の使用・農地転用などによってその解体化が漸次的に進行している.このように農業用水が徐々にしか消滅しない理由は,小農生産のもとでの「分散耕地」農家の兼業化,地価騰貴による「荒し作り」により市街地の間に小面積の耕地が虫喰い状態で残存するからである.水田の農外転用は,農業用水に直接の影響を与える.水田の縮小は反別水利費の減収につながり,住宅化・工場化により用水の汚濁が顕著になり,用水の管理や機能に支障をきたしている.農業用水路はやがて市街地排水路の様相を呈するにいたるであろう.この農業用水の下水化は,両者の水路断面の施設構造がちがうので,下流で排水不良をまねている.これは都市計画の点から検討すべき重要な問題であるという知見をえた.
    都市化の縁辺地域にある下土師ダム下流の農業用水では,新しい水配分が要求されている.広島市の都市化が進展し,太田川に水量的な余裕がなくなると,水需要の増大に応ずるものは江の川(=流域変更導水)以外にない.この下流農業用水には,慣行水利権があり,現在では非能率的なかんがい形態が残存し,より高度な農業の再生産構造をつくろうとする場合,いまや障害となっている点も少なくないことがわかった.従ってこ農業用水の受益地域において,「農業基盤整備」,と「農業用水・都市用水の一体化」を実施するという2つの基本的条件を前提として,新しい水配分秩序の方向にむかって,広域的水利調整が行なわれるように留意することが必要である.
    以上の2つの実態調査をふまえて,都市化地域の水資源の再配分の必要と手法を展開する.
  • 相馬 正胤
    1971 年44 巻4 号 p. 301-318
    発行日: 1971/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    地域の変貌を進化の運動形態として捉え,山村地域の実体に迫ろうとした。
    人口減少の動向から,四国山岳地方の東西を対比する.みつまた栽培を通じて,地域分化の様相を東部・西部比較しつつ考察した.西部の春焼式焼畑地域は解体し,高位置の林業地域と低位置の農耕地域とに分化しつつある。
    林業地:域形成の営力を明らかにするため,公営事業滲透の事情と森林組合労務組織の意義・役割とについて述べた。
    林地の開発を刺戟するChannelは新設の交通路線である.このような交通路が四国山地の分水嶺を横断する部分において,林業開発は誘発される.高知県本川村を対象に,林業労働を通じて,村が林業地域に編入されてゆく過程を捉えようとした。
    地域の変貌をみると,地域は分化と複合のたえざる運動を繰り返しつつ,みずからの構造を深化してゆくことがわかる.
  • 1971 年44 巻4 号 p. 319-322
    発行日: 1971/04/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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