地理学評論
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44 巻, 5 号
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  • 小畑 浩
    1971 年 44 巻 5 号 p. 323-332
    発行日: 1971/05/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    侵蝕谷の谷壁斜面を火山灰が覆っている場合,火山灰中の傾斜不整合から,谷壁斜面の相対的な形成期が判ることがるあ.その観察の結果,次のような結論を得た.
    大山山麓の侵蝕谷は5回の周期的な谷の形成期と形成休止期の繰返しを経て形成されたと思われる.形成期のうち,新しい3回は,洪積世後期の温暖期であると暗示される前後の時代,約書万年前の軽石流噴出時とその後の時代, 1.7~1.8万年前の火砕流の噴出から現在までの時代である.
    侵蝕谷の谷壁は傾斜20°以上の急斜面と20.以下の緩斜面の2種類の斜面から成る.前者はガリ,または,崩壊により形成された斜面で,これは谷を深く,大きく成長させる作用である.後者を形成する営力は不明であるが,この作用は谷を埋積する作用で,前者と逆の効果をもつ.谷の発達はガリ性の急斜面の形成一急斜面形成の停止後の緩斜面の形成という過程で行なわれると思われるが,このような過程が各所で盛んにおきた時代が上述の谷形成期であり,これが5回繰返されたものである.
    一方,谷壁の比高が40m以上ある場合には谷壁が不安定で,崩壊が現在まで継続し・緩斜面の形成される余裕がない.従って,このような谷では深い急峻な谷壁が卓越している.すなわち.大山の場合・谷壁比高40mを境にして谷の形成過程や形態に質的な相異がみられる.
  • 神戸市長田区
    稲見 悦治, 藤岡 ひろ子
    1971 年 44 巻 5 号 p. 333-346
    発行日: 1971/05/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    都市における工業化は地域の開発を促す効果が高いため,新産業都市のごとく,工場の誘致によってそれを促進しようとする試みもあるが,長い間の伝統的な生産体系により形成された既成の工業地帯にば,都市の機能を健全に保つことの不可能な障害を地域に与える場合があり,工業化は必ずしも健全な都市化を招来しない.
    神戸市のゴム工場は神戸の主要輸出産業であったマッチ工業の衰退の時期にその余剰労力を吸収し,神戸港の地の利を得て西神戸に立地した.その生産体系は極めて零細で,マッチ工業以来の分業的地域集団を継承し,地域特有の貸工場制度を発展させてきたが,ゴム工業発達段階の高い地域ほど過密で,その結果おこる火災の多発・病害・大気汚染など都市の問題がきわめて多い.この地域の再開発計画や,既に着手された整備事業もあるが,地域の形成過程に歴史的要因がからんでいて再開発に種々の問題が残されている。
  • 榧根 勇, 竹内 浩
    1971 年 44 巻 5 号 p. 347-355
    発行日: 1971/05/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    わが国の河川の年流出率を水収支の立場から考察した。既存の流量および降水量資料を用いて大淀川,筑後川,江川,柱川,大和川,木津川,矢作川,北上川の各年の流出率を計算し,その妥当性を降水量,流出量,蒸発散量の三者をクロスチェックすることによって吟味した.その結果,江川と大和川以外は観測値の精度が不十分であり,流出量と降水量の比として年流出率を求めることは,特定の流域を除くとむずかしいことが明らかになった.またThornthwaiteの方法による実蒸発散量の全国分布図の値と実験流域からの蒸発散量を比較した結果,山岳地域にいては前者のほうが後者よりも大きく,平地においてはその逆の傾向が認められた.わが国の河川流域からの蒸発散量はほぼ400~1,000mmの範囲にあるものと考えられる.これらの結果から判断すると,従来まで一般にいわれているわが国の河川の年流出率は大きすぎ,とくに90%を越える流出率をもつ河川の存在は多雪地域以外では考えられない.年流出率は,降水量と蒸発散量から計算したほうが妥当な値がえられる.今後の水資源の開発,利用において,蒸発散量を正しく評価することは重要である.
  • 佐藤 典人
    1971 年 44 巻 5 号 p. 356-365
    発行日: 1971/05/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    In this paper the author tried to define the changes of river bed in the Rivers Mogami, Omono and Yoneshiro in Nishi-Ôu District, each of which having several basins and gorges in the watershed. The results of the . survey are summarized as follows:
    1) Contrary to the author's expectation, the records show that the mean low water level in basins or plains in their watersheds has been lowerirg since about 1960.
    2) As to the lowest height and the mean height of these river beds, the quantity of degradation has become increasingly remarkable since about 1965.
    3) As a whole, it is near the undercut slope in meander or near the junction with tributary streams that the changes of river bed are most remarkable.
    4) In these rivers the total amount of deposition or scour in river bed nearly corresponds to the total quantity of gravel mining, and, therefore, the recent degradation of river bed in these rivers may be due to gravel mining.
    5) If so much gravel had not been mined in these rivers, the river bed in them would have unchanged (Fig. 6).
  • 1971 年 44 巻 5 号 p. 366-380_2
    発行日: 1971/05/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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