高度成長期以降の山村の発展がどのようなメカニズムのもとに進行しようとしているかの考察の一環として・隔絶山村の福島県檜枝岐村を研究対象とし,その発展的様相の実態とそれらを規定した要因とについて考察した.
その結果,著しい産業構造の高次化,非農業的土地利用の拡大,村民所得の増加とその中に顕在する階層性,それらの結果としての人口の微増傾向などの発展的諸様相と,それらの規定要因として,行財政,共同社会的性格などの村自治体のもつ性格,および野外レクリエーション,林業などの域内天然資源の価値の増大にもとつくものなどを認め得たが,中でも,これまでの山村の発展要因からみれば比較的新しい行財政的,野外レクリエーション的要因が,檜枝岐村の変貌の中枢的なものとして機能しており,さらに,一般的な交通要因が,ここでは,むしろ,そのウェートが相対的に低くなっていることなどが明らかになった.
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