地理学評論
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45 巻, 6 号
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  • ミヤイリガイの分布を規定する地形・土壌要因について (I)
    二瓶 直子, 浅海 重夫
    1972 年 45 巻 6 号 p. 391-410
    発行日: 1972/06/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    日本に現存する所謂風土病の1つである日本住血吸虫症は,医的事象を通じての地域研究の対象として,ふさわしい性格をもっている.本論では,日本住血吸虫症の医学地理学的研究の第1段階として,その分布の偏在性を明らかにしたのち,ミヤイリガイの生態を考慮しながら分布規定要因を,生息地の自然環境条件,特に地形,土壌条件から検討した.
    生息地の洪水地形分類の結果,3種に類型化されたが,多くの生息地は,そのうちの1つすなわち洪水時に湛水し,而も湛水深が深く,湛水期間の長い低所である.この場合には洪水地形分類が分布状態をうまく説明することがわかったが,母も大きな分布範囲をもつ甲府盆地の生息地の場合は扇状地性の地形面に属するものが多く,洪水地形では説明できない.また同一地形区内でもミヤイリガイの分布は偏在している・そこでカイの分布を説明する他の要因すなわち土壌条件をとりあげることにし,採集地別,母材別,粒径別,腐植含量別等の土壌の比較をするために調整した実験土壌によって,ミヤイリガイの飼育実験を試みた結果,土壌が分布規定要因の1つであることを確かめた.
  • 山口 岳志
    1972 年 45 巻 6 号 p. 411-429
    発行日: 1972/06/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    筆者は先に, 1960年国勢調査において人口集中地区人口3万以。ヒの189市を対象とし,都市に関する50種の指標を選択して,主成分分析を行なったが,全変動の59。6%を説明する上位4成分に機能的な意義が認められた.
    そこで本稿では,成分の平行性を検討するため,対象とした189市を地域別に核心部・西南日本・東北日本とに3区分し,次いで人口規模別に人口集中地区人口3~5万・5~10万・10~25万・25万以上とに4区分して,各都市群の因子負荷量を比較した.
    第1成分において平行性の著しい指標群は,社会階層に留まらず,管理的職業従事者とそれを補佐する事務関係職業従事者の活動によって発生する,管理的機能の存在を示唆している.また,第2成分の経済的基盤の中核としては,卸売・小売業の販売活動に基づく物質の集散など,中心的機能の存在を示す指標群があり,各都市群の成分には共通して管理的機能と中心的機能の3種の都市機能が再現した.
  • 新井 鎮久
    1972 年 45 巻 6 号 p. 430-441
    発行日: 1972/06/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    筑波研究学園都市の建設が,地域農業に及ぼ+している影響を,用地買収がほぼ終了した1971年の時点で要約すると,耕地減少が比較的少なく,かつ地元労働力を吸収する力が弱い学園都市開発であるにもかかわらず,農業労働力の流出が,最近特に著しい.農業的土地利用面では,土=地依存度の強い粗放的畑作を,生産手段の強化を図りながらも,依然として続けている.施設園芸,畜産等の集約経営部門の導入や拡大はすくない.
    このような農家の対応を規定した最も重要な因子として,土浦を中心とする労働市場の変化と,農業対策としての営農改善施設設置事業とをあげることができる.特に後者-営農改善施設設置事業一による農業生産手段の強化は,学園都市地域の農業に土地利用と労働力の両面から影響を及ぼしただけでなく,同時に農家階層の分化を促進する一因となっている.
  • 枝川 尚資
    1972 年 45 巻 6 号 p. 442-445
    発行日: 1972/06/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
  • 白濱 兵三, 赤川 泰司
    1972 年 45 巻 6 号 p. 446-452
    発行日: 1972/06/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    国際地理学連合の中に1960年に組織されたCommission on Agricultural Typologyの活動経過やその中間的成果については,これまでにも紹介してきた1)2)3).この委員会はその後, 1966年にメキシコシティ, 1968年にニューデリー, 1970年にベローナで研究集会を開いたほか,この分野に関心をもつと思われる世界の研究者に3回の質問状を出してその回答を求めた.そして1972年8月にはモントリオールで開かれる国際地理学会で第5回の全体集会を8日間にわた+ってもつことにしている。ベローナの集会では委員会の一つの作業として,「地域的研究のフレームワークとなる最少限の指標に基づいた世界農業タイポロジーの試案を作ること」が.きまり,その作成に委員長のコストロヴィッキーが当ってきたが,最近同氏からその成果, “The Typology of World Agriculture A Preliminary Scheme” (59 p.) が送られてきた.その内容には,委員会による従来の成果が全般的に集約されていることはいうまでもないが,どくに第3回の質問状に回答したFAOならびに18か国の29人の意見や, 10大学17人の討議参加者を得て作成されたソビエト連邦からの集団的回答が十分に検討された形で取りいれられている.モントリオールの集会では,委員会はおそらく世界全体の農業のタイプをきめる方法について一応の結論を引きだし,そのあとはその結論に基づいた詳細な地域的検討を各国の研究者に要請するものと予想されるが,この試案はその集会での中心的な討議素材として取りあげられるかと考えられるので,その集会に先きだって,その内容の概略を紹介しておきたい.ただしここでは主として結論的な部分の紹介にとどめ,立論の根拠や展開などについては,ある程度前報)2)3)で述べてきたので割愛する.
  • 1972 年 45 巻 6 号 p. 453-460_2
    発行日: 1972/06/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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