ストラスブールの北西にあるレス土壌丘陵の4村をとり,それら村落の土地所有の社会的配分の変化を17世紀後半から追った.
1660年の大土地所有者は宗教財団,ストラスブール施療院で,村落居住者はそれほど土地を所有していない.都市市民の土地所有は無視できぬほどである.18世紀になって農村民的土地所有が増加した・フランス革命後になると,村落居住者の土地所有はプロテスタント村において著しく増加した.しかし,カトリック村においてはそれほどふえず,それを利して土地所有者となったのは都市市民,特にストラスブールの市民であった.1953年の土地所有については名義上の所有者が増加した.村落居住者が大部分の土地を所有しているものの,数:十a所有するものが極めて多い.以上,農村民的土地所有が17世紀後半から20世紀中頃にかけて増加するのがわかった.一方,宗教財団,病院,市民等,いわゆる“都市”の土地所有を通しての農村との結びつきも明らかになった.
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