地理学評論
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49 巻, 11 号
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  • 山村 順次
    1976 年 49 巻 11 号 p. 699-713
    発行日: 1976/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,伝統的な小療養温泉地に近代的温泉療養所が開設された長野県鹿教湯温泉を例として,温泉集落の形成過程と機能・構造の変化を追求し,一般的には停滞または衰退してきている療養温泉が地域社会の発展に大きくプラスしたことを明らかにした.湯量の少ない共同湯を核に成立した閉鎖的外湯旅館集団は,新しい大量の温泉湧出に際しても,まず長野県厚生農業協同組合連合会の温泉療養所を誘致して療養温泉地としての充実を図ったが,このような地域の側の開発姿勢が療養温泉地発展の基本要因をなした.それに伴って,農民のための冬季集団保養が実施され,夏季には東京からの老齢湯治客が集中して入湯客の地域的季節配分が合理的になされるようになると,周辺農家の観光産業への転換が顕著となった.また丸子町当局は外来資本の進出を避けるために,温泉開発の主導権を握って温泉統合をなしとげ,ここに歓楽化を排除した療養温泉集落の機能が一層強められたのである.
  • 海津 正倫
    1976 年 49 巻 11 号 p. 714-735
    発行日: 1976/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    津軽平野の沖積世における地形発達史を,地形・地質調査,珪藻分析などに基づいて明らかにした.
    沖積世の初期における平野の形成は,入り込んだ溺れ谷を埋積する状態で進行し,河谷によって堆積構造の違いが認められる.溺れ谷の両岸に発達する段丘面の埋積は,海水準の上昇とも関連して,堆積の場の急激な拡大をひきおこし,堆積物の顕著な細粒化を導いた.海進による水域の拡大は五所川原市付近まで達したが,その中心は西に片寄っていた.当時の水域に注ぐデルタとして形成された上位沖積面は以後の海退に伴って開析された.その後,谷中に樹林が生育したり,下流側の地域で泥炭が顕著に形成されるような,あまり洪水のおこらない安定した時期を経て,それらをおおう下位沖積面堆積物の堆積をみた.水域の拡大期は5,500y.B.P.頃まで,海退期を経て,安定期は2,500y.B.P.頃を中心とした時期,下位沖積面形成期は2,000y.B.P.頃以降と考えられる.
  • 森川 洋
    1976 年 49 巻 11 号 p. 736-754
    発行日: 1976/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    最近,計量的手法による客観的な地域区分(類型化)が検討されている.本稿では,57変数による地域特性と1920~1975年(11期)の人口推移についてそれぞれ因子分析を行ない,1970年時点の人口的・社会経済的特性とともに人口面からの動態的考察を加えて,広島県107市町村の類型化を試みた.
    その結果,地域特性の分析では第1因子に全変動の40%を説明する都市性因子が現われ,第2・第3因子にはブルーカラー労働者因子,近郊地域因子が続く.わが国では都市性因子が地域特性の代表的因子であると推定される.
    人口推移の因子分析では,戦後の高度成長期・戦前期・人口激動期の3因子が抽出され,高度成長期因子は都市性因子との相関が強い.最後に,両因子分析による各市町村の因子得点をクラスター分析すると,両者の分類結果はかなりよく対応する(第7表).広島市周辺では,地域特性・人口推移両面において圏構造的なものが認められるが,福山市周辺ではまだそれほど顕著ではない.
  • 1976 年 49 巻 11 号 p. 755-763_2
    発行日: 1976/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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