大都市圏の動態 (metropolitan dynamics) についての理論および経験的モデル構築のための基礎的研究として,名古屋大都市圏を例にとり,わずかな研究蓄積の段階にとどまっている小売業・サービス業の業種別,業種の階次別の立地動向について,主に事業所統計調査結果 (1966, 1972) の原表を用いて分析した.その結果, 1. 高次な機能の郊外分散は進行しておらず,中心都市である名古屋市,とくにそのCBDは一層高次な機能の集積地となった, 2. 低次な機能の立地は,低次な財に対する需要の空間的な分布の変化とほぼ均衡している, 3. 中心都市に次ぐ中心性を有する諸都市においては,高次な機能が絶対的あるいは相対的に低下したこと,が明らかとなった.また,これらの立地動向の諸要因について考察し,さらにわが国の大都市圏間における小売業・サービス業の階次別立地動向の差異について推察した.
抄録全体を表示