メソスケールでみた本邦の農業土地生産性の分布パターンとその変化を,傾向面分析を適用することによって系統的に説明し,局地要因についても考察を加えた.その結果, (1)本邦の農業土地生産性の一般的分布パターンは楕円状パターンの集合とみなすことが可能で,このパターンは最近になるにつれて,チューネンパターンでとらえることができ,西南日本では南西方向へ,また東北・北海道では北東方向へと移動していること, (2)このパターンの一般化の水準を高めれぽ,日本農業の基本的構造の反映である単一の楕円状パターンや平行線パターンによる太平洋側と日本海側との差異で把握することができ,この差異は次第に顕著になってきたこと, (3)しかし,これらの差異は北海道や東北地方と,関東・中部地方以西とではそのパターンが逆転しており, (4)北海道と東北以南との間には土地生産性の著しい差異が依然として存続していること, (5)にれらの一般的分布パターンが土地生産性の全変動を説明する割合を考慮すれば,局地要因がかなり重要な比重を占めること,などが明らかになった.
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