飛騨山脈と飛騨山地を下刻する高原川沿岸の河成段丘は,上位から本郷・宮原・中越・殿・坂巻・見座の6段丘に区分される.これらの段丘の形成年代は,段丘を覆う火山灰層の年代,段丘堆積物の
14C年代,跡津:川断層による段丘面の変位量などにより,上位の段丘からそれぞれ約5万年前,約4.7万年前,約1.1万年前,約0.9万年前,約0.5万年前,約0.23万年前と推定される.
これらの段丘上に分布する沖積錐は,堆積物の層相などから土石流によって形成されたものと判断され,その平均的な形成期間は段丘形成後現在までの間であると推定される.
形成期間の等しい沖積錐群の平均的な堆積土砂量は,形成期間に比例して増加し,各沖積錐群が最近の約5万年間,等速的に成長していることが確認された.またこれらの沖積錐は,この地域における最近約70年間に発生した土石流と同規模・同頻度の土石流堆積物の累積によって十分形成しうることも確認された.
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