韓国東海岸における完新世の海水準変動を沖積層の層相変化とその年代から復元した.さらに海水準の微変動を, 10,000年B. P.~6,000年B. P.は堆積物の粒度分布パターンおよび貝殻・珪藻殻の出現深度より, 6,000年B. P.から現在までは湿地性草本花粉組成の変化パターンおよび貝殻・泥炭層の出現深度より復元を試みた.そのおもな結果は次のとおりである.
(1) 韓国東海岸の海水準は, 10,000年B. P.頃約-25m, 7,000年B. P.頃約-10m, 6,000年B. P.頃ほぼ現海水準に達し,その後わずかな微変動を繰り返しながら現在に至っている. (2) 前項の韓国東海岸の海水準変動が諸外国の研究例とほぼ一致することから,韓国東海岸では完新世に入ってから地盤運動がほとんどなく,安定したことが考えられる. (3) 10,000年B. P.以前から6,000年B. P.まで,海面の急上昇期間に10,000年B. P.から9,000年B. P.頃海面の一時停滞期があり,浦項沖積平野では-20m付近に礫層が堆積した. (4) 6,000年B. P.以後,海面が安定した時期に3回の相対的高海面期があり,その高海水準に対応して浜堤列が形成された.
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