地理学評論
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55 巻, 6 号
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  • 菊地 俊夫
    1982 年 55 巻 6 号 p. 359-379
    発行日: 1982/06/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    戦後開拓地に関する地理学の研究課題の一つは,入植者がいかにして自然環境に適応しつつ土地を開墾・利用し,農牧業を発展させてきたのかを知ることである.このことは,集落と土地所有の形態,土地利用,地域組織などから構成される空間パターンがどのように形成されてきたのかを解明することでもある.そこで本稿は,那須山麓における戦後開拓地を事例に,集落と土地所有の形態,土地利用,農業経営,地域組織を総合的に捉え,開拓地における空間パターンの形成過程を体系的に分析した.その結果,那須山麓の戦後開拓地における農牧業の発展過程は酪農を主体とし, 4期に区分できた.つまり,集落の集中と分散,土地所有の団地化,乳牛飼育の多頭化に伴う土地利用の単一化,地域組織の広域化などにより,明確な空間パターンの形成と変化過程が確認されたのである.
  • 村山 祐司
    1982 年 55 巻 6 号 p. 380-402
    発行日: 1982/06/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
  • 松橋 公治
    1982 年 55 巻 6 号 p. 403-420
    発行日: 1982/06/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    機械関連下請工業が工業構成上重要な地位を占めている地域において,下請企業群の集団内の構造,存立基盤の特質をとらえておくことは,下請企業群のみならず,地域経済の動向を見通すうえできわめて重要であると考えられる.本稿では,両毛地区の自動車関連下請工業,とくに当地区で集積の著しい三次下請の小零細経営層を取り上げ,その集団内の構造,存立基盤の解明をめざした.その結果,依然として自動車への依存度が高く,そのなかで親企業の「多角化」,また集団内での取引,とくに「応援生産」という相互取引関係も進展しつつあることが明らかになった.こうした構造は,農山村部にみられる垂直的なそれとは異なり,東京の城南地域に代表されるような大都市内部における「多角的結合形態」に近づきつっある.しかし取引構造や小零細層の独特の動向も,当地区の現状では,自動車関係の下請関係における低工賃に対応したものであり,ここでの下請関係を維持するための新たな条件となるにとどまっている.存立基盤では, (1) 個別経営的条件としての家族従業者の利用と長時間労働, (2) 小零細層の集団的条件としての「応援生産」,および(3)多角化を可能にする立地条件としての機械工業の地域的集積,の3点が重要であることが明らかになった.
  • 小林 守
    1982 年 55 巻 6 号 p. 421-444
    発行日: 1982/06/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    都市内外の屋上面における冬季夜間の長波放射収支成分の相違を示し,さらに,都市屋上面の長波放射場に及ぼす都市大気の影響(しゃへい効果)について論じる.観測は, 1969年12月下旬から1970年1月上旬に,夜間の完全快晴時を選んで,大都市東京およびその周辺の屋上面で実施された.長波放射収支量 (RN) は風防型放射収支計で直接測定され,さらに,サーミスター温度計による屋上面温度の測定値を用いて,上向き長波放射量(R↑)および下向き長波放射量 (R↓) が求められた.その結果,弱風下の都市内で高温多湿汚染大気が存在する「通常の都市大気」環境下では,都市域におけるR↑の平均増加率は4.2%で, R↓のそれは6.9%もあった.したがって,RNの平均増加率は-4.5%となり,この都市内外のRNの相違が都市域の冷却を相対的に緩和し,ヒートアイランドを強化する因子の一つとして作用していることが判明した.このときのR↓の都市域における増加の原因について, R↓を算定するための理論計算スキームなどを用いて若干の考察をした結果,都市内外の温度・湿度の鉛直分布の相違のみでは説明しえず,大気汚染物質による付加放射(汚染効果)も関与していることがわかった.都市内外ともほぼ一様な清浄な大気環境下での対照的な観測例についてもあわせて示されている.
  • 1982 年 55 巻 6 号 p. 445-446,450
    発行日: 1982/06/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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